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 シーメンス(独Siemensの日本法人)は2018年7月23日に記者説明会を開催し、日本市場のエネルギー事業戦略を明らかにした。再生可能エネルギーの活用が進むことで、化石燃料を用いるガスタービンにも「ピーク対策」や「容量市場」の需要が見込めるという。

再エネの変動をガスタービンで補助

 再生可能エネルギーの拡大でガスタービンの需要が発生するのは、再生可能エネルギーの大幅な出力変動をガスタービンで補助する必要があるからだ。その象徴的な事例として、同社 代表取締役社長兼CEOの藤田研一氏は、2016年5月4日の九州電力の電力需給状況を挙げる。この日、再生可能エネルギー(太陽光と風力)による出力は13時時点で4.9GWに達し、全需の約7割を占めた。これを受けて火力発電をいったん抑制・停止し、揚水発電を動力運転(水のくみ上げ)に切り替えている。ところが、夜になると太陽光発電の出力が1時間で2GWも低下したため、その分を火力発電や揚水発電の再起動/出力増で補った。

2016年5月4日の九州電力の電力需給状況。13時は再生可能エネルギーの出力が全需の約7割を占めていたが、夜のピーク需要は火力発電や揚水発電によって対応した。(スライド:シーメンス、データ:九州電力)
2016年5月4日の九州電力の電力需給状況。13時は再生可能エネルギーの出力が全需の約7割を占めていたが、夜のピーク需要は火力発電や揚水発電によって対応した。(スライド:シーメンス、データ:九州電力)
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 この例からも分かる通り、再生可能エネルギーの活用が進めば進むほど、実需に対応するピーク対策や、発電事業者と電気小売事業者が供給力を売買する容量市場向けに、火力発電の重要性が高まってくる。火力発電のうち「石炭火力発電はクイックスタートができない」(藤田氏)ことから、ガス火力発電の需要が見込めるわけだ。ガスタービンであれば、始動から20~30分で定格出力に達するという。