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 米Oracleは、「自律化(Autonomous)」をコンセプトに、データベース(DB)クラウド「Oracle Autonomous Database(Autonomous DB)」の拡充を急いでいる。2018年3月から提供しているデータウエアハウス(DWH)版「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud」に加え、この8月にはオンライントランザクション処理(OTLP)版「Oracle Autonomous Transaction Processing」の提供を開始した。

 Oracleがいう自律化とは何か。これまでの自動化(Automation)と何が違うのか。

 「目標はデータベースのシンプル化。データをローディングしたら、すぐにクエリーを実行し顧客がデータ活用できるようにしたい」。Oracle データベース・システム・テクノロジー マスター・プロダクト・マネージャのマリア・コルガン氏は、Autonomous DBを推進する狙いをこう話す。

 Autonomous DBの心臓部に当たるのが、独自開発を進める機械学習エンジンだ。これに同社のデータベースマシン「Oracle Exadata Database Machine」やOracle DBの自動化機能などを連携し、自律的な運用を可能にするという。

Autonomous DBの構成要素
Autonomous DBの構成要素
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 最新版のOracle Database 18cに至るまで、同社はOracle DBに先進的な機能を次々と加えてきた。クラスタリング機能「Oracle Real Application Clusters(RAC)」や、ロー型とカラム型テーブルを併用可能にする「Oracle Database In-Memory」などが代表例。Autonomous DBはこれら機能も活用しDBの無人運転を目指す。

変更をユーザーに委ねるかどうかが違う

 Oracle DBは、これまでもチューニングや監視などの自動化を進めてきた。自動化と自律化の大きな違いは、アドバイスに基づいた変更をユーザーに委ねるかどうかにある。

 例えばパフォーマンスチューニング。これまでも、SQL診断ツールであるSQLチューニング・アドバイザからパフォーマンス改善に向けたアドバイスは自動で得られた。ただし、インデックス作成が推奨されても、実際に適用するかどうかはユーザー次第だ。一方、「Autonomous DBではインデックスの欠落を見つけると、インデックスの作成、検証、実装までをユーザーに代わって自律的に行う」(コルガン氏)。

 Autonomous DBはログなどを取り込み、機械学習によりDBの状態を診断する。インフラやソフトウエアを継続的にモニタリングし、DBに異常がないかを監視。異常を検知した場合は、関連するログや情報を絞り込み、既知の問題と照合する。合致した場合は、該当パッチの適用といった対処を自動で行い、ユーザーの手を煩わせることなく、安定稼働に努める。

 障害の予兆も検知する。例えばディスクの読み書きの状況を診断し、障害につながると判断すれば、そこにあるデータを別のディスクにコピーして退避。そのうえで交換用の新しいディスクを、自動でオラクルに手配する。「インフラにExadataを使っている理由は、様々な診断機能がExadataに組み込まれているからだ」(コルガン氏)。

 発生した事象が未知の場合は、取得したログや情報について問題チケットを自動で払い出し、オラクルのエンジニアによる解決につなげる。対処に基づいて新たなパターンを機械学習エンジンに学ばせ機能改善を繰り返す。