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 欧州の高級車メーカーを中心に、曲面形状の車載ディスプレーを採用する動きが活発になってきた。自動運転車や電気自動車(EV)の普及を見据えて、車内空間の快適性や先進性を重視した車両開発が進んでいるからだ。液晶技術を提供する2次部品メーカーとして、ジャパンディスプレイ(JDI)やシャープなどが名乗りを上げ、「R800」の攻防を繰り広げている。

 「R」とは曲面形状の半径を示し、続く数値が小さいほど半径の小さい急な曲面を意味する。数値が小さいほど設計や生産が難しくなり、車載向けではR800を実現できるかどうかが技術的な壁になっている。

 車載向けの需要は拡大するとの見方が強い。ドイツ・アウディ(Audi)が2017年秋に発売した旗艦セダン「A8」は、搭載する数個のディスプレーのうち、カー・ナビゲーション・システム(カーナビ)部分に10.1インチの曲面ディスプレーを使って先進性を強調した。「Mercedes-Benz」ブランドを手掛けるドイツ・ダイムラー(Daimler)の幹部は「車内空間のデザイン性を重視するなら、もはや曲面ディスプレーは必須だ」と話す(関連記事:車内は快適な「部屋」になる)。

図1 ジャパンディスプレイ(JDI)が開発した運転席コンセプト、最大でR800(凹面)
図1 ジャパンディスプレイ(JDI)が開発した運転席コンセプト、最大でR800(凹面)
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 液晶大手のJDIは、次期型モデルへの供給を目指して開発を続けるメーカーの一つ。同社が開発した運転席コンセプトは、R800(凹面)とR1500(凸面)で曲げたディスプレーを計3枚組み合わせて、インストルメントパネル(インパネ)部分に搭載している(図1)。横方向に長い1枚のカバーガラスに3枚の液晶ディスプレーをおさめた。画面サイズは各12.3インチで、解像度は1920×720ピクセルである。数年以内の量産を目指して自動車メーカーに売り込む。

 JDI車載インダストリアル事業部課長の安達充男氏は「約1.5mの車幅を想定すると、3~4枚に分けたほうが(1枚で構成するよりも)設計自由度が高まる」と語る。各ディスプレーには異なる情報を表示する考えだ。運転席部分には車速メーターを、中央部にはカーナビ画面を、そして助手席には天気予報といったコンテンツを映す。

 センターコンソール部分には、R800(凹面)で曲げた16.7インチの液晶ディスプレーを配置した。米テスラ(Tesla)のEV「モデルS」や「モデルX」が搭載する17インチと同程度の大きさである。解像度は1080×2880ピクセル。ディスプレーの上部は平面にしてナビゲーションを映し、下部を曲げてエアコンやオーディオの操作盤を表示する。画面全体の形状は一般的な長方形ではなく台形になるように加工している。今後は、画面に指紋認証機能を搭載するなど、付加価値を高める開発に注力する。