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 タイヤ世界首位のブリヂストンが冬用タイヤで攻勢をかける。競争軸は走行時の静粛性だ。2017年秋には、従来よりも約3割静かな新モデルを発売。好調な販売数を記録し、冬用タイヤの国内市場で17年間連続で首位を走る。自動運転化や電気自動車(EV)化によって走行中の「静かさ」の価値は一層高まる見方が強い。静粛性に磨きをかけて、タイヤ世界2位のミシュランを突き放す。

ブリヂストンの冬用タイヤ戦略発表会に登壇した女優の綾瀬はるかさん
ブリヂストンの冬用タイヤ戦略発表会に登壇した女優の綾瀬はるかさん
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 「制動能力だけではなく、総合的な性能が必要になってきた」ーー。マーケティングを専門に手掛けるブリヂストンタイヤジャパン常務執行役員の長島淳二氏は、冬用タイヤの市場動向をこう分析する。都市部では急な路面凍結や積雪に備えた万が一の策として、冬用タイヤを装着するケースが増加し、現在では3人に1人が冬用タイヤを保有しているという。

 長島氏は「日本の冬季の路面は特に対応が難しい」と話す。北米や北欧などと違い、日本の冬道は朝夕の気温が0℃付近で変動し、凍結と融解を繰り返している。降雪量が多い他の地域以上に、水分が多く滑りやすい路面になる。

 積雪や凍結が発生する道路での安全な走行を主な目的とする冬用タイヤだが、一般的な道路でも広く使用するケースが増えている。静粛性や耐摩耗性といった、通常のタイヤに近い性能の向上を求める声があがっている。

 ブリヂストンは性能や価格に応じて3種類の冬用タイヤを揃える。その中で旗艦モデルとなるのが乗用車向けの「BLIZZAK VRX2」(以下、VRX2)だ。同社が1988年から発売する「BLIZZAK」シリーズの最新モデルで、2017年秋に発売した。先代モデルから4年ぶりの刷新となる。

ブリヂストンが展開する冬用タイヤ、左が旗艦モデル「BRIZZAK VRX2」
ブリヂストンが展開する冬用タイヤ、左が旗艦モデル「BRIZZAK VRX2」
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旗艦モデルBRIZZAK VRX2の接地面、溝を小さくしてパターンノイズの発生を抑えた
旗艦モデルBRIZZAK VRX2の接地面、溝を小さくしてパターンノイズの発生を抑えた
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弱みのパターンノイズを改善

 VRX2では、基本性能である氷上のブレーキ性能を10%、耐摩耗性は22%向上している。特筆すべきは、走行時の騒音を31%低減したことだ。

 タイヤが起因する走行中の騒音は大きく二つある。一つは、路面の凹凸によってタイヤが揺れて、車軸まで振動が伝わることで発生するロードノイズ。もう一つは、タイヤと路面間で発生した音がボディーやウインドーなどを通して車内に伝わるパターンノイズだ。

 一般的に冬用タイヤは夏用タイヤに比べてゴムが柔らかく、160〜200Hzの低中周波数帯域のロードノイズが発生しにくい特徴がある。一方で、高周波数帯域のパターンノイズが発生しやすい課題があった。氷上性能を発揮させるために、タイヤの回転方向に対して横方向の溝が夏用タイヤよりも大きくなるためである。VRX2では、タイヤの溝形状を従来モデルから刷新することで、弱点だったパターンノイズの低減に成功した。