京都大学が2018年6月1日に設立した100%出資の事業子会社、京大オリジナル株式会社(京都市、宮井均社長)。文部科学省は指定国立大学法人だけに、研究成果を活用する事業者への出資を認めており、その制度を利用して設立した子会社だ*。

2018年6月8日付けの京大のプレスリリースには同社の設立の目的として「研究成果として得られた京大の『知』を産業界/社会に発信し、その社会的価値を最大化する」とうたう。また「得た収益によって研究環境を整備し、さらなる京大の『知』創出の基盤を築く」とも書かれている。
京大オリジナルは、京大の産官学連携本部の企画・戦略立案、マネジメントの傘下で他の京大子会社2社と連携して実務・実行機能を担う(図)。他の2社とは、大学の知的財産などの研究成果を産業界などに技術移転する技術移転機関(TLO)で、2016年1月に子会社化した関西ティー・エル・オー(関西TLO)と京大発ベンチャーへの投資、インキュベーションを担う2014年12月設立の京都大学イノベーションキャピタルである。
京大オリジナルはどんな事業構想を持つ企業なのか、同社取締役で関西TLO前社長の大西晋嗣氏に話を聞いた。
京大オリジナルの規模は?
大西 6月1日に船出した京大オリジナルは資本金が9000万円(資本準備金4000万円を含む)で従業員15人。取締役は代表取締役社長の宮井均と私の2人。監査役に阿曽沼慎司氏(京大理事)を迎えた体制でスタートしました。オフィスは京大構内の国際科学イノベーション棟4階で、隣には関西TLOが入居しています。