事故への不安、安全に協働できるか?
協働ロボットに対する期待がある一方で、導入・普及に対する課題を指摘し、不安を述べる回答も多かった。最も目立ったのは「安全性」に対する課題や不安だ。誤動作などによる接触事故に対する懸念は、実際に工場で作業した経験があれば誰でも感じるものだろう。中には、事故防止のために「人間を認知しやすい機能性被膜を開発し、人体全体をコーティングする」必要性を指摘する回答まであった。
・「予期せぬ故障や誤動作は必ずあり得るという認識を常に持つことが必要だ」(教育・コンサルティング、経営)
・「無意識な行動が大きな事故につながる可能性があるので、相手がロボットであることを意識しておくことが必要だ。人間との接近・接触を避け、安全性を確保する仕組みを確立すれば人間とロボットとの協働が成立する」(総合電機・家電メーカー、研究・開発)
・「利用するロボットの安全思想をしっかりと認識すべきだ。ロボットの納入メーカーでもユーザーでも変わりはない。例えば、ワークを取り損ねた場合、ロボットは動きを止めるのか、それとも拾おうとするのか、あるいは次のワークに進むのか。それによって共同作業者の安全なアクションが変わる。さまざまな価格や機能のロボットが出てほしい。例えば、当社では安全性の観点から1人作業が禁止されているが、見守りロボットが同伴できれば解禁できるかもしれない」(一般機械メーカー、品質保証・品質管理)
・「人間との接触事故を防ぐために人間を認知しやすい機能性被膜を開発し、人体全体をコーティングする。協働作業空間全体を3次元でカバーするカメラを設置したモーションキャプチャー空間をロボットがモニターし、自身の動作を認識・ティーチングして作業範囲の拡大を図るようになることが求められる」(総合電機・家電メーカー、品質保証・品質管理)