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 リンクス(本社東京)が、SCADA(Supervisory Control and Data Acquisition)事業に本腰を入れる。同社は、2017年から本格化させたスマートファクトリー事業の一環として、オーストリアのコパデータ(CAPA-DATA)が開発したSCADAシステム「zenon」の国内総販売代理店となっている。2018年10月24日に都内で開催したで記者説明会では、大塚製薬工場(本社徳島県鳴門市)が導入に向けてテストを開始する他、大手自動車部品メーカーも導入を検討していると明らかにした。

 「SCADAは単なる工場設備のデータ表示ツールではなく、スマート工場を実現するためのもの。IIoT(Industrial Internet of Things)は本来はSCADAが担うべき」。リンクス代表取締役の村上慶氏はこう語り、今後、日本メーカーが工場のIoT化を進める上でSCADAが重要な役割を果たすとの見方を示した。具体的には、製造現場のPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)などと、MES(製造実行システム)をつないで、データをやり取りする役割を果たすとしている。

zenonの事業について説明するリンクス代表取締役の村上慶氏
zenonの事業について説明するリンクス代表取締役の村上慶氏
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 SCADAは、工場の製造現場やプラントなどにおいてプロセス制御と集中監視を行うためのシステム。村上氏によると、グローバルでは1990年代後半ごろから一気にSCADAの導入が進んだものの、日本では普及しなかった。その理由について同氏は、「日本はMESから紙で作業指示書が出たり、作業記録を手書きでとる文化が根付いていた。現場の設備やPLCとMESを“強引に”接続することでSCADA導入を見送った」と指摘する。しかし、設備の稼働履歴や作業履歴、作業指示の発行などにおいて人による作業が多いために、データを閲覧・分析するのに時間がかかったり、必要なデータが記録されていなかったりといった課題があるという。

SCADAの位置づけ
SCADAの位置づけ
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 「必要な作業をSCADAで行うことで、人の作業をシステムに組み込んでいこうというのがzenonのコンセプト」(村上氏)。zenonの導入によって、現場のさまざまな機器から履歴、アラームなどのデータを吸い上げ統合的にデータを保管・管理するともに、工場全体の状況をパソコンやタブレットでリアルタイムで見られるとしている。加えてそのデータを使って、エラー解析や予知保全なども実現できるという。

zenonの画面の一例
zenonの画面の一例
工場の現在の状況をリアルタイムで表示する。
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 特に製薬業界では米食品医薬品局(FDA)などによる規制強化で「データインテグリティー(データの一貫性・正確性)」を強く求められるようになっており、SCADAを導入して対応しようとの動きが広がっているという。「手書きを極力排除したいというのが企業側の事情。大塚製薬工場でもそれを実現するためSCADAに着目。欧米を中心に製薬業界での実績があることからzenonを採用した」という。