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 「現在の協定より関税ゼロの条件は厳しくなるが、新協定の交渉が合意に至ったことに安堵している」──。ホンダ副社長の倉石誠司氏は、2018年10月30日に開いた2018年度上期(2018年4~9月期)の連結決算会見で、米国とメキシコ、カナダの3カ国で新たに合意した貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」についてこのように述べた(図1)。

図1 ホンダ副社長の倉石誠司氏
図1 ホンダ副社長の倉石誠司氏

 2018年9月末に合意したUSMCAは、早ければ2020年に発動される見通しである。現行のNAFTA(北米自由貿易協定)では、域内で生産する完成車の部品の現地調達率を62.5%以上(費用ベース、以下同じ)にすれば、3カ国間での輸出入の関税がゼロになる。

 これに対して新協定では関税がゼロになる条件として、(1)現地調達率を今後3年間で、段階的に75%に引き上げる、(2)部品の40%以上を、時給16ドル(1ドル=112円換算で約1800円)以上の賃金の従業員が生産する、(3)自動車に使用する鉄鋼、アルミニウム(Al)合金の70%は、北米で生産したものを使うことなどを挙げた。

 また、エンジンや変速機、サスペンション、ボディー・シャシーなどの主要7部品については、域内で生産することを義務付けた。完成車の数量規制も導入し、メキシコとカナダから米国に輸出する完成車は、年間260万台を超えると課税の対象になる。米トランプ政権の「自国優先主義」が強く反映された形である。

 新協定への対応について倉石氏は、「北米における生産や部品の供給体制を変えることは、現時点では考えていない」とした。中長期的な対応については、「発動までに時間がある。合意内容を精査して、今後どのように対応するかを検討する」と述べるにとどめた。