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 基幹システム・業務システムを再構築する際、往々にして利用部門から「既存システムの現行機能は全て継承してほしい」という要望が出る。しかし既存システムには、使わなくなったり需要が薄れたりしたムダな機能が存在する。それらは新システムの要件から外すべきだが、実際にはムダな機能も含む現行機能の大半を継承するケースが多い。そうなると、追加する新機能が少なくなったり、開発期間やコストが膨らんだりするのに加えて、新システム稼働後の運用保守コストが上昇する。

 機能を削減できない主な原因の1つは、ITエンジニアが利用部門から「新たにコストを掛けるのに、なぜ現行機能の継承すらできないんだ」「現行機能をなくして何かあったらどうする」と迫られたとき、説得が容易ではないことだ。それ以前に、「ムダな機能を見つけて削減すべき」という意識がITエンジニアの側に希薄なこともある。

 日立コンサルティングはこうした問題に対処するため、2018年3月までにシステム再構築プロジェクトの社内標準プロセスを策定。ムダな機能を新システムに継承しないようにする方法を手順化した。現在は、実プロジェクトで効果を検証し改良を加えながら、自社および日立製作所のITエンジニア向けに研修を行い、現場への浸透を図っている。

 手順化を主導する、日立コンサルティングの水田哲郎マネージングディレクターは「現場のエンジニアに、ムダな機能を見つけて削減するという意識を高めたうえで、利用部門の合意をスムーズに得られるようにしたい」と狙いを語る。

プロジェクトの方針に機能削減を盛り込む

 日立コンサルティングが策定した方法論は、システム再構築プロジェクトのリーダーにとって、ITベンダーかユーザー企業かにかかわらず参考になる。標準プロセスの大きなポイントは、以下のように4つある。

再構築プロジェクトの全体プロセスと機能削減のポイント
再構築プロジェクトの全体プロセスと機能削減のポイント
(日立コンサルティングの資料を基に作成)
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 1つめは、システム再構築プロジェクトの序盤で、「システム運用保守の生産性向上」を目的の1つに位置付け、「既存システムの機能のうち必要性や重要性の低い機能は新システムに引き継がない」という方針を主要な関係者で確認することだ。

 システム化方針の決定に関わる上級管理職は現場業務よりも経営的な観点が強いので、システム運用保守コストの引き下げにつながるという説明によって、機能削減の同意を得やすいという。システム化方針に機能削減を盛り込んでおくことにより、後のフェーズで利用部門の説得材料に使える。