日野自動車社長の下義生氏は2018年10月30日、同社の上期(2018年4~9月)決算発表会で「2025年度までに年間の世界販売台数で30万台を目指す」と宣言した。2017年度比で1.6倍に相当する。中長期の新たな経営目標とし、所属するトヨタ自動車グループや、2018年4月に提携の合意を発表したドイツTRATONグループ(旧:Volkswagen Truck&Bus)と連携を深めて実現を目指す。

決算発表会に登壇した日野自動車社長の下義生氏
決算発表会に登壇した日野自動車社長の下義生氏
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 下社長は同社の成長が期待できる市場として、東南アジア諸国連合(ASEAN)や北米、そして日本を挙げた。30万台という目標販売台数のうち、ASEANで11.1万台を、北米で6.9万台を、日本で5.5万台を売りたい考えだ。3地域で目標とした世界販売台数の約8割を占める。

 ASEAN各国の経済成長を取り込み、定温/低温の荷台部分「架装」の需要が拡大するとみる。特に、日野にとってASEAN最大の市場であるインドネシアでは、建設需要の拡大によって小中型のトラックの販売が伸びる見通し。北米向けには需要が拡大している中高馬力帯の車両を2019年ごろに投入する。

 30万台という目標販売台数に到達すれば、売上高は2017年度比で4割増となる2兆5000億円に引き上げられる。営業利益は2500億円となり、売上高営業利益率は10%を超える。日野は他社に比べて同利益率が4%台と低く、定時株主総会では「なぜ儲からないのか」といった不満の声が挙がっていた(編集部注:ライバルのいすゞ自動車は同約8%)。今回の経営目標を達成できれば、日野は稼げる商用車メーカーとして、株式市場から評価を得られる可能性が高い。

 目標の達成のために、新車ビジネスと保有ビジネスの「両輪」を動かすのが日野の戦略だ。電動化に軸足を置いた環境対応の新車を複数台投入する他、販売後のアフターサービスにも力を入れる。売って終わりのビジネスモデルではなく、顧客となる物流事業者と長期的な関係性を築いて収益力を高める。