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 米オートデスク(Autodesk)は2018年11月に米ラスベガスで開催したイベント「Autodesk University 2018」で、所与の性能、質量を満たす設計案をコンピューターで自動的に生成する「ジェネレーティブデザイン」の今後の強化方針などを明らかにした。設計品質の向上の面から見て、設計変数として計算に入れられる材料、製造方法の選択肢を増やし、設計者が複数の設計案についてトレードオフを検討しやすくする。さらに大きな役割として、設計から製造までのリードタイムを大きく短縮し、顧客ごとの要望に応じた製品を大量生産並みの期間やコストで製造するマスカスタマイゼーションの実現手段にもなり得る、と同社はみている。

図1 WHILL(本社横浜市)の車いすを題材にしたジェネレーティブデザインのデモ
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図1 WHILL(本社横浜市)の車いすを題材にしたジェネレーティブデザインのデモ
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図1 WHILL(本社横浜市)の車いすを題材にしたジェネレーティブデザインのデモ
「Autodesk University 2018」では、WHILLが取り組んでいる車いす「Model C」のメインフレーム(シートと後輪を支える構造部品)の軽量化をテーマにしたデモを見せた。左がFusion 360で計算中の画面で、緑色の領域は部品に必ず含み、赤は含まない。右が計算結果を表示した画面。

3D-CAD「Fusion 360」に組み込み

 同社は2018年10月から、それまで一種のベータ版としての扱いだったジェネレーティブデザイン機能を、3D-CAD/CAMのクラウドサービス「Fusion 360」の標準機能として組み込んだ(図1)。さらに、同機能を稼働させる際の制約条件または選択肢として、製造方法がこれまでAM(付加製造)だったのを、3軸と5軸の切削加工も設定できるようにした(図2)。さらに、ジェネレーティブデザインで生成した形状は、Fusion 360の自由曲面機能で編集できるようにしている(図3)。

図2 製造方法の指定メニュー
図2 製造方法の指定メニュー
ジェネレーティブデザインで形状を生成する上での制約条件として「切削加工(3軸または5軸)で製造可能なこと」を指定できるようになった。
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図3 ジェネレーティブデザインで生成した形状をCADで編集
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図3 ジェネレーティブデザインで生成した形状をCADで編集
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図3 ジェネレーティブデザインで生成した形状をCADで編集
生成した形状はFusion 360のデータとして、曲面編集機能で調整できる(a)。デスクトップのCAD「Autodesk Inventor」への取り込みも可能(b)。