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 「説明会の参加者枠があっという間に埋まった」。SCSKの井出和孝人事企画部人事企画課長は2019年1月1日から導入する副業・兼業制度に対する社員からの注目度の高さに驚きを隠さない。

SCSKの井出和孝人事企画部人事企画課長
SCSKの井出和孝人事企画部人事企画課長
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 同社は制度開始を2018年11月12日に発表した。システム構築を請け負う国内大手IT企業で副業を全面解禁するのは初めてだ。SCSKは2018年11月29日から3回、合計300人で開催する予定だった説明会の申し込みが想定以上だったため、回数を急きょ増やした。合計の参加者はビデオ会議での参加を含めて2000人弱、全社員7400人の4分の1程度に上る見通しだ。「社員が副業に興味を持つ時代だと改めて実感した」(井出課長)。

他社からの兼業も受け入れる

 同社が導入する副業・兼業制度「スマートワーク・プラス」は、SCSKの社員が業務時間外に社外の業務に就いて報酬を得る「副業」と、業界を問わず他社で働く人がSCSKでも働く「兼業」を認める制度である。特に副業の容認によって「人材の育成や、(複数のキャリアを並行する)パラレルキャリア志向の人材の獲得や引き留めにつなげる」(井出課長)狙いがある。

 これまで社外での就業を非営利の場合に限って許可制で認めてきた。許可を受けた社員は10人程度にとどまるが、ここ数年は申請が増える傾向にあった。政府が副業を促進するなか、「社員が会社に無届けで副業するケースが増えると本人だけでなく会社に影響するリスクが大きくなる。副業を制度として設け、きちんと管理すればリスクを最小化できると判断した」と井出課長は打ち明ける。

 副業は同業他社を対象とする場合は許可制だが、「知人の店舗のシステムを開発する」といった一般企業におけるIT関係の副業は届け出だけで済む。「自らのスキルを生かしながら社内ではできない経験をしてもらうことが目的の一つ。一般企業におけるIT関係の副業はむしろ推奨したい」(井出課長)。

 同業他社での副業で許可を得る場合も、現場の上長だけでは却下できないようにする。上長は意見を述べるだけにとどめ、許可するかどうかは人事部が関係各所から聞き取りをしたうえで判断する。

顧客常駐社員も副業OK

 もちろん副業に禁止事項はある。就業規則に明記している内容だが、副業についても改めて「営業機密を漏洩する」「会社の利益や資産を毀損する」「公序良俗に反する」などを禁止し、副業する社員に誓約書を出させる方針だ。