三菱自動車は2018年11月26日、カルロス・ゴーン氏を代表取締役会長から解任した。同日18時過ぎ、同社は東京本社で最高経営責任者(CEO)であり新たに取締役会長に就任した益子修氏が記者会見を開き、報道陣からの質問に答えた。
アライアンスの中で3社の技術力の水準はバラバラだと思う。こうした中で、アライアンスの要であるゴーン氏がいなくなった。三菱自動車の取締役の中にはクルマの技術が分かる経歴を持つ人がいない。このような状態で、100年に一度と言われる自動車業界の変革に対し、今後どのような成長路線の未来図を三菱自動車は描くのか。
益子氏:上半期の決算発表で、私は三菱自動車の今後のあるべき姿、「三菱自動車らしさ」についてあえてコメントした。その際に、三菱自動車らしさとは何かを自分自身でも考え、会社でも考えさせた。三菱自動車らしさを追求することが必要だと考えている。変革期だからこそ、大きな会社と同じようなことをするのではなく、我々ができることをしっかりやっていくことが大切だろうと強く考えている。これまでは少し成長を急ぎすぎたところがあるかもしれないので、少しずつ見直しながら改革を進めていきたい。
具体的に「らしさ」とは何か。
益子氏:これまでは三菱自動車らしい走りとか、SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)とか四駆(四輪駆動車)とかと言ってきた。我々の主力製品もSUVに代表されるクルマが多い。これらに新しい技術、環境や自動運転、コネクテッドといった技術をできる限り取り込んでいくことだろうと思う。事業モデルとしては、これまで想定していなかったビジネスモデルとしてシェアリングが出来上がりつつある。この中で、我々は何ができるかを考えていきたい。これらを追求していく中では、アライアンスは必要だ。今後もアライアンスはWin-Winの関係を軸としてしっかりと維持していきたい。
技術開発の面で仏ルノー(Renault)と日産自動車が対立した場合、三菱自動車はどちら側につくのか。
益子氏:技術開発の対立という意味がよく分からない。自動車会社が目指すべき方向は、対立ではない。やるべきことは決まっている。変革期には、(技術として)自動運転やコネクテッドカー、人工知能(AI)などが、ビジネスとしてはシェアリングがある。これらにどのように向き合っていくのかは、自動車メーカーが共通に抱える課題だ。その中で全然違った方向を向いていくことは考えられないので、対立するという心配はしていない。