三菱電機は2018年12月4日、都内で記者会見を開き、子会社であるトーカン(本社千葉県松戸市)が顧客の契約仕様を満たしていないゴム製品を出荷していたと明らかにした (図1)。トーカンによると、既に全ての出荷先を特定。出荷した製品の状況と経緯を説明し、今後の対応を検討しているという。会見の場で同社社長の松岡達雄氏は、「部長クラスまで関わっており、組織レベルで(不正が)行われていた」と認めた上で、「全社的に品質教育を徹底するとともに、品質管理体制を再構築したい」と述べた。
社内調査の結果、トーカンが品質を偽装して出荷した製品はエスカレーター用の手すりやローラー、電子機器用の放熱絶縁ゴム、産業機器用のクッションやパッキンなど合計253種 (図2)*。2000年以降の総出荷数1億575万6756のうち、7.4%に当たる783万4766が顧客仕様を満たしていなかった (図3)。不適合品の出荷先の顧客数は25社だ。実施すべき物性検査を省略したり、顧客との契約で定められた仕様を満たしていなくても社内で設けた独自基準を満たしていれば出荷したりしていた。実際の検査データと試験成績書の数値が異なる品質データの偽装も7件あった。
同社の売上高葯16億円のうち約9割は三菱電機が占める。会見に出席した三菱電機ビルシステム事業本部ビルシステム業務部長の織田巌氏は、「トーカン製品を組み込んだ当社製品において、不適合品が当社の製品の性能や安全性に及ぼす影響は調査し、問題がないことは確認している」と語った。三菱電機以外の顧客である企業名についてトーカンは、「契約上、公表できない」としている。