伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)社は、「Arm Cortex-M0+」ベースの新たなMCU「STM32G0シリーズ」を発表した(日本語ニュースリリース)。シリーズとしてさまざまな機器へ応用できる製品を標ぼうしており、例えば、8~100ピンと幅広いパッケージを用意している。
Cortex-M0+は、Cortex-M0と共に、英Arm社のMシリーズのCPUコアの中ではローエンド製品に位置付けられる。複数の半導体メーカーがM0+やM0をベースにしたエントリーレベルのMCUを提供している。STMicroelectronicsはCortex-M0+ベースのMCUとして「STM32 L0シリーズ」(動作周波数は32MHz)を、Cortex-M0ベースのMCUとして「STM32 F0シリーズ」(同48MHz)を持つ。前者は低消費電力をウリモノにし、後者は低価格をウリモノにする(関連記事)。処理性能はF0シリーズ(106CoreMark、38DMIPS)の方がL0シリーズ(75CoreMark、26DMIPS)よりも高い。
今回のG0シリーズはこれら2シリーズよりも高速(64MHz)に動作させることで、高い性能を実現した。142CoreMark、59DMIPSである。「市場にある他のエントリーレベルMCUと比較して高速処理が可能。さらに、クロック設定が柔軟に行えるため、限られた消費電力で最適な性能を確保できる」(同社)という。消費電力が低いことも新製品の特徴だとする。例えば、動作時の消費電流は100µA/MHz未満。消費電力の削減と電池の長寿命化を実現するという省電力動作モードを複数備える。STOPモードでは消費電流は3μ~8μA。STANDBYモードでは500nA(いずれもリアルタイムクロック実行中の+3.0V、+25°C動作時)。
新製品は消費電力に制約があるにも関わらず、高い性能が求められる機器に向くとする。具体的には、スマートフォンや、スマート家電、空調システム、民生/産業機器用モーター制御、IoT機器、充電型ネットワーク接続機器、ドローン、照明システムなどを挙げる。