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 自動車レースF1シリーズのテレビ観戦が、AI(人工知能)によって進化する。F1世界選手権の運営・放映権管理などを統括するフォーミュラワン・グループは2019年からテレビ観戦向けに、大手パブリッククラウドAmazon Web Services(AWS)のAIサービスを使って、レース展開の予測や運転技術の評価などの情報を提供する計画だ。

 2018年11月26日(米国時間)から30日にかけて米国で開催された米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の年次イベント「re:Invent 2018」における3日目の基調講演で、フォーミュラワン・グループのモータースポーツ担当マネージングディレクターであるロス・ブラウン氏が明らかにした。

 例えばレース中にタイヤ交換や給油を行うピットインに際して、「ハミルトンがベッテルに追い抜かれる確率は62%」のように、追い抜きの成功確率をリアルタイムで予測し、テレビ画面に表示する。追い抜きの成功確率は、ピットイン時に限らずデッドヒートを繰り広げている場面でも示す。

2019年導入予定のAIを活用したテレビ放送例。ピットインに際し、現在2位のセバスチャン・ベッテルが1位のルイス・ハミルトンを追い抜く確率は62%としている
2019年導入予定のAIを活用したテレビ放送例。ピットインに際し、現在2位のセバスチャン・ベッテルが1位のルイス・ハミルトンを追い抜く確率は62%としている
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 各タイヤの温度やオーバーヒートが起きる確率といった車全体の状況も、観戦用の情報としてテレビ画面に映す。さらにあるドライバーについて、コーナリングの運転技術によって他の選手と比べて何秒短縮しているかも表示する。

各タイヤの温度やオーバーヒートが起きる確率といった車全体の状況を表示
各タイヤの温度やオーバーヒートが起きる確率といった車全体の状況を表示
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 もともとF1のレーシングカーからは、120個程度の搭載センサーによって「レース中は1秒当たり110万件のデータを常時取得している」(ブラウン氏)。各レースで生成するデータサイズは3ギガバイトになる。

 逐次入ってくるデータ(ストリームデータ)を、過去65年のレースデータを基に構築したAIで処理することにより、レース展開の予測や運転技術の評価をリアルタイムに提示。F1レースをテレビ観戦しているファンは、「なぜ良いタイムが出せるのかといった理由や、ドライバーが攻めに出ているのか守りに入っているのかなどの状況を常に把握できる」(同氏)。