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 ゴーン氏の後の会長席はしばらく空席になる──。2018年12月17日、日産自動車は取締役会後に本社(横浜市)で会見を開いた。同社代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)の西川廣人氏は、取締役会長(以下、会長)の選任について、独立社外取締役で構成する委員会(以下、会長選任委員会)を設置し、現在の取締役の中から会長候補を提案すると決議したと発表。ただし、選任については協議を継続し、2019年3月をめどに会長候補を提案するという。

日産自動車の西川氏
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日産自動車の西川氏
会長候補の提案を独立社外取締役に委ねると語る。

 会長選任委員会のメンバーである独立社外取締役は、経産省出身の豊田正和氏と、レーシングドライバーの井原慶子氏、仏ルノー(Renault)出身のジャンバプティステ・ドゥザン氏の3人。いずれも日産自動車の取締役会により委任された。同委員会が会長候補の選認について継続協議すると提案し、取締役会が了承したという。

 ゴーン氏は、2018年11月22日に日産自動車が開催した臨時取締役会において、会長と代表取締役を解任された。日産自動車の社内調査により、有価証券報告書への報酬の虚偽記載と私的な不正投資、資金の私的流用の不正が見つかったためだ。名目上は現在も日産自動車の取締役にとどまるが、逮捕後に東京拘置所に拘留されたまま。そのため、取締役会に出席できず、取締役の役割は果たせてない。

取締役同士の意思疎通の断絶

 会長の選任については、水面下でルノーとの主導権争いが激化している模様だ。というのも、日産自動車によるゴーン氏の不正行為の詳細な説明を、アライアンスを組むRenaultと三菱自動車の両取締役会に伝えようとしたところ、三菱自動車の取締役会は受け入れたが、Renaultの取締役会は拒否。「Renaultの取締役会とは直接話せず、日産自動車の弁護士からRenaultの弁護士へのコミュニケーションにとどまっている。そのため、不正の生々しい情報はRenaultの取締役会に届いていない」(西川氏)。ゴーン氏が犯した不正の重大さと責任を訴えることで、日産自動車の会長選任に関して主導権を握りたいという西川氏の思惑と、それを阻止したいRenaultの思惑が透けて見える。

 一方、Renaultは日産自動車に対して臨時株主総会の開催を要請。日産自動車の株の43%を保有する大株主として、取締役の人事をRenault優位で進めたい考えだ。ところが、日産自動車はこの提案を拒否。同日の取締役会で、ガバナンスの改善を図る「ガバナンス改善特別委員会」を設置し、不正が起きた要因や背景を調べて日産自動車が抱えるガバナンスの問題点を追究。その結果を踏まえた改善提案を待って株主総会を開く考えを西川氏は示した。

 ガバナンス改善特別委員会は、先の3人の独立社外取締役に加えて、4人の独立第三者委員が名を連ねる。具体的には、元高等裁判所長官の西岡清一郎氏と、元東レ社長・会長で現在日本経済団体連合会名誉会長を務める榊原定征氏、弁護士の佐藤りえ子氏、財務会計やコーポレートガバナンス(企業統治)の専門家である内藤文雄氏である。