ドイツ・インフィニオン・テクノロジー(Infineon Technologies)は「オートモーティブ ワールド2019」(2019年1月16〜18日、東京ビッグサイト)の会場で車載マイコンの事業戦略を発表した。先進運転支援システム(ADAS)や自動運転技術の普及に伴い、車載マイコンの重要性は高まっているが、必ずしも演算性能では勝負しないという。
今後、自動運転技術を搭載したクルマの電気/電子(E/E)アーキテクチャーは分散型から統合型(中央処理型)に移行すると言われている。「ビークルコンピューター」と呼ばれる中央処理型のECU(電子制御ユニット)に多くの機能を集約する方向である。同社Vice President & General Managerのピーター・シェーファー(Peter Schafer)氏によると、こうした変化は「2022~24年ごろに顕著になる」という。
その際、中央処理を担うECUでは、マイコンやSoC(System on Chip)に高い演算性能が求められる。Infineonもこのトレンドに沿ってマイコンの高性能化を進めるものの、「我々が米エヌビディア(NVIDIA)や米インテル(Intel)のプロセッサーほどの高い性能を実現できるとは思っていない」(同氏)とする。高い演算性能が求められる用途はNVIDIAやIntelに任せつつ、「我々はローエンドからハイエンドまでのきめ細かな品種展開や、高い信頼性・安全性、セキュリティーの高さで勝負する」(同氏)。すでに同社は自動運転プラットフォームの開発でNVIDIAやIntelと協力している。
同氏によると、自動運転車の「頭脳」に当たる部分を直接手がけなくても、車載マイコンの事業機会はたくさんあるという。「高度な自動運転技術を搭載するクルマは全体のごく一部にとどまる見通しで、その他のほとんどのクルマはマイコンベースのADAS技術を利用する」(同氏)。このため、NVIDIAやIntelのプロセッサーによって「我々のマイコン事業がネガティブな影響を受けるとは考えにくい」(同氏)と述べた。