ローム(ホームページ)は、新しいウェッタブルフランク構造を採用した車載用MOSFETを開発し、2019年1月16日〜18日に東京ビッグサイトで開催された「第11回[国際]カーエレクトロニクス技術展」で展示した。パッケージは、実装面積が1.6mm×1.6mmと小さいDFN1616である。特徴は、130μmという表面実装後のフィレット高さを保証している点にある。フィレット高さとは、パッケージ側面に付着させたはんだ接続部の基板表面からの高さである。これが高ければ高いほど、2次元の自動光学検査装置(2D-AOI)を使って、高い信頼性で検査できるようになる。同社によると、「DFN1616という小型パッケージで、130μmのフィレット高さを保証するのは業界初」という。
開発したウェッタブルフランク構造はまず、−30V耐圧のpチャネル型MOSFETに適用する。このMOSFETのオン抵抗は、ドレイン-ソース間電圧が−2.5Vのときに150mΩ。最大ドレイン電流は−3.1Aである。車載カメラに搭載する逆接続保護素子に向ける。従来は、ショットキー・バリアー・ダイオード(SBD)が使われていたが、順方向電圧降下による電力損失が問題になっていた。そこで開発したpチャネル型MOSFETによる「理想ダイオード回路」に置き換える。これで、電力損失の削減と同時に小型化を実現できる。サンプル出荷は2019年2月に開始する予定である。量産は2019年3月に始める計画だ。