自動運転向けの人工知能(AI)技術を手がけるハンガリーAImotiveは、AIの推論処理を高速化するAIアクセラレーターのIPコア「aiWare」のロードマップを「オートモーティブ ワールド2019」(2019年1月16〜18日、東京ビッグサイト)で見せた。
最新版「aiWare v3」は2019年3月までに利用可能になる見通し。2018年7月に提供を開始した「同v2」が1チップで最大10TMACS(20TOPS)のニューラルネットワーク処理が可能だったのに対し、v3では1チップで最大50TMACS(100TOPS)と5倍の演算能力を備えるという。これは米エヌビディア(NVIDIA)の車載SoC(System on Chip)「Xavier」の約3倍の性能となる。
v3の消費電力当たりの性能は6TOPS/Wで、Xavierの6倍に相当する。演算器の使用率も85%を維持できる見通しであり、チップ面積(コスト)を抑えられるという。ただ、テストチップを試作するには「10億円単位の資金が必要になる」(同社)ため、半導体ベンダーとの協業を模索している。
自動運転ソフトの最新シミュレーター「aiSim2」も2019年3月までに提供する予定。シミュレーター内でブダペストや東京の交通環境を再現し、「追い越し」や「合流」、「事故」など、さまざまなテストケースを試し、自動運転ソフトの完成度を検証する。従来版の「aiSim」は1つのGPUしか使えなかったが、aiSim2ではグラフィックスエンジンを刷新し、複数のGPUを使えるようにしたほか、AImotiveが提供するクラウド環境も利用できるようにした。豊富な演算リソースが使えるため、自動運転ソフトの開発を加速できる。