「これまでテレビや絵本などさまざまなメディアで、適した表現を模索し、コンテンツを作ってきた。『toio(トイオ)』はこれまでにないすごいメディアだ」――。こう語るのは、Eテレ(NHK教育テレビジョン)の教育番組「ピタゴラスイッチ」などを手掛けた著名なクリエーター集団「ユーフラテス」のメンバーで映像クリエーターの佐藤匡氏である。toioは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が2019年3月20日に国内で発売する体験型のロボット玩具。toioはもともと、ソニーCSLで研究が始まり、ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」を通じて誕生した。その後、製品化・事業化するにあたり、開発チームごとSIEに移籍し、2019年1月17日に発売時期や価格を発表した(関連記事)。これに伴い、SIEが報道機関に向けてtoioの体験会を開催した。冒頭の佐藤氏の発言は、この体験会でのものである。

toioでは、マイクロマウス型の小型ロボット「toioコアキューブ」に、紙やレゴブロックなどで作った「かぶりもの」を載せ、リング型コントローラー「toioリング」で操作するなどして遊ぶ。この遊びを通じて、「子供におもちゃの世界に入り込んでもらい、さまざまな創意工夫を引き出す」(開発を主導した、SIE T事業企画室 課長の田中章愛氏)のが目的である。ユーザーがクリエーターにもなる「トイプラットフォーム」を志向する。
toioでは、本体の「toioコンソール」に、コアキューブの制御プログラムを格納したカートリッジを挿す。ゲーム機のようにカートリッジを差し替えることで、さまざまな遊びを切り替えて体験できる。すなわち、「toioにおける体験価値は(ユーザーやクリエーターが生む)コンテンツにある」(SIE プラットフォームプランニング&マネジメント 統括責任者 西野秀明氏)。言い換えれば、ユーザーやクリエーターを魅了し、良質なコンテンツや遊び方をいかに増やせるかが、事業の成否を握る。それだけに、体験会では、toio対応タイトルに関わったクリエーターらが登壇する構成を採り、その魅力や可能性などを紹介した。