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 米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)の「Amazon Echo」や米グーグル(Google)の「Google Home」などのスマートスピーカー(AIスピーカー)の普及によって、AI(人工知能)を用いた対話システムが身近になってきた。調査会社の米エディソン・リサーチ(Edison Research)と米公共ラジオ局NPRの合同調査によれば、2018年12月時点で米国家庭のスマートスピーカー保有台数は1億1850万台に達した(両社の調査レポート)。

 それでは、「対話」の機能に注目したとき、現状のAIはどこまで「人間らしい」自然な対話ができるのか。SF(サイエンス・フィクション)映画に登場するAIのように、人間と何気ない雑談を交わしたり、言外の意図を読み取って気の利いた言葉を発したりできるのだろうか。

 そんな対話システム開発の現状を知る助けとなるイベント「対話システムライブコンペティション」が、2018年11月下旬、早稲田大学で開かれた。同イベントは、人工知能学会 言語・音声理解と対話処理研究会(SLUD)が開催した「第9回 対話システムシンポジウム」(2018年11月20~21日、早稲田大学)で開かれた特別セッションである。人間がチャットボットと公開対話を行い、イベントの参加者(観客)全員が各ボットを評価するという異色のイベントだ(イベントのサイト)。

公開対話の様子
公開対話の様子
チャットボットとの公開対話を100人近くが鑑賞した
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 AIの対話能力を競うコンペで有名なのが、アマゾンが主催する「Alexa Prize」である(Alexa Prizeのサイト)。このコンペでは、大学の研究チームが同社の対話エージェント「Alexa」の開発ライブラリー「Alexa Skills Kit」を用いて、スポーツやエンターテインメント、政治など複数のトピックについて対話するチャットボットシステムの開発を競う。システムを審査するのは、Alexaを搭載するAmazon Echoの一般ユーザーである。2018年は米カリフォルニア大学デイビス校(University of California Davis)が優勝し、賞金50万米ドルを獲得した。

第9回 対話システムシンポジウム実行委員会の委員長を務めるNTTの東中竜一郎氏
第9回 対話システムシンポジウム実行委員会の委員長を務めるNTTの東中竜一郎氏
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 今回のコンペを開催した狙いについて、第9回 対話システムシンポジウム実行委員会の委員長を務める日本電信電話(NTT)の東中竜一郎氏(NTTコミュニケーション科学基礎研究所 兼 NTTメディアインテリジェンス研究所 知識メディアプロジェクト 知識言語基盤技術グループ 主任研究員(上席特別研究員))は、「システムとユーザーの対話をライブで鑑賞・評価する場を設けることで、現状の対話システムの課題をコミュニティーで共有し、研究開発の加速につなげたい」と語る。