アクセンチュアがデジタル技術を活用したビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)事業を本格的に始めた。顧客企業から請け負った業務全体の9割を自動化することを目指す。目標達成のため、パソコンを使った定型作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入だけにとどまらず、多面的な戦術を講じていく。
同社は新しいBPO事業を「アクセンチュア・インテリジェント・オペレーションセンター福岡(AIO福岡)」を拠点に始める。2019年1月28日、福岡市に開設した。福岡市は人口が増加しており、デジタル技術に詳しい人材やスタートアップ企業も多い。こうした地に新拠点を築くことで、「最先端のデジタル技術を取り入れていき、9割を自動化する高度な業務オペレーションの実現を目指す」。アクセンチュアの江川昌史社長はこう意気込みを語る。
業務を9割近く自動化すると、これまで取得できていなかった、業務実態を把握するためのデータが集められるようになる。アクセンチュアはBPOサービスの付加価値向上のため、収集したデータを使ってオフィス業務の実態を定量的に把握し、業務効率を阻む潜在的な課題の発見などに生かす。
パソコンを使った作業が多いBPOの現場で、効率化を図る手段として有力視されているデジタル技術がRPAだ。しかし、アクセンチュアの伊佐治光男執行役員オペレーションズ本部統括本部長は「RPAを導入すれば9割の省力化が図れるとされることもあったが、実際に導入してみると省力化できるのは業務プロセス全体の10~20%程度にとどまることが少なくない」と指摘する。「RPA以外のデジタル技術を採用するなど統合的な自動化を進めていくことが欠かせない」と続ける。
従来業務の90%を自動化する目標を達成するため、アクセンチュアはAIO福岡で3つの戦術を講じていく。
第1の戦術が「RPAだけにとどまらず、デジタル技術を広く活用する」ことだ。具体的には、RPAに限らず人工知能(AI)や高度なデータ分析であるアナリティクス関連技術を組み込んでいく。