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 高田工業所は、電流情報を基に回転機械の状態を診断するクラウド型のサービス「TM-CLOUD」を2019年4月から提供する(ニュースリリース)。同社の電流情報診断システム「T-MCMA」(TAKADA Motor Current Multiplex Analysis)を利用するもの。モーターの電流を電気盤内で測り、そのデータをクラウド内のソフトで解析することにより、回転機械の状態を診断する(図1)。データはクラウドへ蓄積するため、時間や場所を問わず機器の状態を監視・診断できるようになる。

図1:「TM-CLOUD」の概要
図1:「TM-CLOUD」の概要
(出所:高田工業所)
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クラウドにデータを蓄積、複数拠点を一元管理

 T-MCMAでは、電気盤内にクランプ式のセンサーを設置し、回転機器に流れている電流を計測する(図2)。電流計測ユニットでA/D変換した後、診断用コンピューターで解析。何らかの異常が発生したときに生じる微弱な電流変化を捉え、モーター本体とポンプなど負荷側の機械・設備を診断。モーターと機械のどちらに異常があるかを突き止められる。機械が壊れてからメンテナンスする事後保全(BDM)や、機器の状態にかかわらず定期的にメンテナンスする時間基準保全(TBM)から、機械が壊れる前にメンテナンスする状態基準保全(CBM)への移行を図れる。

図2:「T-MCMA」による電流計測のイメージ
図2:「T-MCMA」による電流計測のイメージ
(出所:高田工業所)
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 新サービスはクラウドと連携したことにより、複数の拠点のデータを一元管理しやすくなった。クラウド内のデータは、複数名での共有が可能。回転機械の状態を電子メールで送信するので、異常の発生をタイムリーに確認できるという。クラウドとの通信には専用回線を使い、第三者の侵入を防ぐ。クラウドサーバー内にデータを蓄積することで、災害時にデータを保護できるのも利点としている。

 ユーザーによる簡易診断で異常が認められると、場合によっては高田工業所のスタッフがそのデータを精密診断し、異常原因の究明にあたる。将来は、AI(人工知能)を用いた自動診断の展開や、電力損失を見える化する計画もある。