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嫌がられるシニアSEはスキルよりも言動に問題

 ただ、シニアSE側の責任が皆無というわけではない。山中議長は「技術スキルに問題はなくても、コミュニケーションや振る舞いに問題があるシニアSEが少なくないのは事実だ。シニアSEが嫌がられる背景には、こうした問題のあるシニアSEをチームに入れた結果、痛い目を見たというリーダーの失敗経験がある。実際、アンケートでもそうした回答が多かった」と話す。

 アンケート調査では「年下のリーダーや他のメンバーに対して偉そうに振る舞う」「過去に培ったスキル、経験の範囲内でしか仕事をしない」「作業指示に従わなかったり、愚痴や文句を言ったりする」といった回答があったという。こうしたシニアSEの言動を経験したリーダーは、シニアSEを嫌がるようになる。

 「過去のやり方に固執して、命名規則やレビューといった、現場のルールを守らない」という回答もあった。「過去の成功体験があるため、プロジェクトのルールをまどろっこしいと考えているのかもしれない」(山中議長)。だが、ルール違反で足並みを乱すメンバーがいると、プロジェクト全体の生産性が低下する。リーダーがそうしたシニアSEを扱いづらいと考えるのは無理もない。

 一方、リーダー側のコミュニケーション能力や加齢に対する理解不足が疑われる回答もあった。シニアSEが嫌がられる理由のうち「リーダーや他のメンバーとの年齢差が大きい」に分類した回答だ。「30代の若手リーダーが、親と同年代である50代のシニアSEに指示するのをためらっているという回答が多かった。また、20代や30代中心のチームにシニアSEを参加させ、円滑にコミュニケーションを取れるのか不安がっているという回答もあった」(山中議長)。

教育プログラムや説得マニュアルを提供へ

 UOSのタスクチームは調査結果を受けて、大きく3つの施策を検討している。UOSの会員企業を対象に、2019年にも実施や提供に踏み切る考えだ。

 1つ目はシニアSE向けの再教育プログラム。「過去の実績への過剰なこだわりを捨ててもらったり、言葉遣いや振る舞いを見直してもらったりといった、年下の上司に対する接し方の研修を年1~2回実施しようと考えている」(山中議長)。

 2つ目は若手リーダー向けの教育プログラムだ。加齢による心身の変化を踏まえた、年上の部下に対する指導方法の研修を実施する意向だ。若手リーダーにシニアSEの特性を理解してもらい、プロジェクトへの受け入れを後押しする考えだ。1つ目、2つ目ともに団体として研修を実施し、希望する会員企業が参加できるようにする。

 3つ目はリーダーを説得する方法をまとめたマニュアルの整備だ。シニアSE本人の振る舞いに問題がなくても、年齢だけで偏見を持つリーダーは存在する。そこで、リーダーが懸念するような問題がないとアピールする方法をマニュアル化する。山中議長は「内容はこれから検討するが、懸念とそれを解消する回答を10パターンくらい作ろうと考えている」と話す。