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 京都大学大学院教授の西脇眞二氏らの研究グループは、トポロジー最適化技術のCADへの組み込みと応用例について「SIP革新的設計生産技術公開シンポジウム2019」(2019年1月30日)で公表するとともに、応用例の試作品を「国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」(同日~2月1日、東京ビッグサイト)で展示した。応用例では、ハイブリッド車用のインバーターを題材に、熱と電磁波の流れを最適化の対象として、特定の部品が熱や電磁波の影響を受けにくくなるよう設計した。形状を対象にした最適化技術は3D-CAD「SOLIDWORKS」(仏Dassault Systemes)に組み込み、くいんと(本社東京都府中市)が製品として発売する前提で開発を進めている。

 公表・展示した試作品のうち、熱の流れを最適化したのはインバーターケース(きょう体)。本体はABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)製で、表面に銅などで熱が流れる径路を設けた。インバーターにはモーターとトランスミッションで生じた熱が伝わるが、内部のコントロールユニットにあるコンデンサーは熱に弱い。試作品では、コンデンサー位置を迂回するように熱を流し、インバーターケースに装着するヒートシンクへと逃がすよう設計した(図1)。

図1 熱の流れを最適化したインバーターケースの試作品
図1 熱の流れを最適化したインバーターケースの試作品
下が銅の選択的プレーティングによって製作したもので、上が導電性ペーストを用いたもの。
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