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島津製作所と大阪大学は、世界最高出力となる1kWの青色半導体レーザー装置を開発し、「TCT Japan 2019」(2019年1月30日~2月1日、東京ビッグサイト)で展示した(図1、島津製作所のプレスリリース)。「高出力と高輝度を兼ね備えた装置」(会場の説明員)で、厚さ数mmの銅や金のレーザー切断加工、レーザー焼き入れなどへの利用が期待される。今までの出力では主に熱伝導溶接やコーティングが利用先だった。レーザー光源の出力を従来品*1の2倍となる200Wに向上し、そのレーザー光源5本を1本の光ファイバーに集約して1kWにした(図2)。
*1 島津製作所は2018年1月25日、従来品である100Wの青色半導体レーザー光源を製品化している。輝度が1.3×106W/cm2、直径が100μmである。

図2 青色半導体レーザー内部の光学系イメージ
青色半導体レーザー光源の内部イメージ(上)。数十個の青色半導体レーザー素子を光学系でファイバーへと導光している(主に空間多重を示す)。下は青色半導体レーザー光源のレーザーを集約して高出力化しているイメージ。(出所:上が島津製作所、下がNEDO)
レーザー光源の出力を高めるには、複数のレーザー素子からのレーザーを重ね合わせる必要がある。これまで島津製作所が製品化した100Wの青色半導体レーザー光源は、レンズの屈折でレーザーをまとめる「空間多重」と、異なる偏光のレーザーをまとめる「偏向多重」を用いていた(図3)。