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 「あなたの安全のために、“偽物”を受け入れてはならない(When it comes to your safety, accept no imitations.)」――。

 穏やかではない文言が、展示ブースの壁面いっぱいに記されていた(図1)。2019年1月に米ラスベガスで開催された展示会「CES 2019」での出来事だ。英語だけでなく、中国語でも同様のメッセージを併記したところに意味がある。

図1 VelodyneがCES 2019のブースで競合をけん制。「あなたの安全のために、“偽物”を受け入れてはならない」とした。(撮影:編集部)
図1 VelodyneがCES 2019のブースで競合をけん制。「あなたの安全のために、“偽物”を受け入れてはならない」とした。(撮影:編集部)
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 怒りを表明したのは、自動運転用3次元レーザーレーダー(LIDAR)を手掛ける米ベロダイン・ライダー(Velodyne LiDAR)。LIDARは、ミリ波レーダーとカメラに次ぐ第3のセンサーとして自動運転車への採用が見込まれる。同社のLIDARは、2010年代前半に米グーグル(Google)やトヨタ自動車などの自動運転車に採用されて実績を積み上げてきた。

“偽物”は中国企業か

 LIDAR業界大手のVelodyneの背中を追うようにスタートアップを中心に様々な製品が登場しつつある中で、今回の出来事は起こった。LIDARの開発競争が過熱する様子が表面化した格好だ。

 Velodyneは“偽物”を名指ししないが、業界関係者の話を総合すると、中国ロボセンス(RoboSense)を強く意識していることが分かった。両社のLIDARは外観が非常に似ているだけでなく、レーザー光を車両の周囲にスキャン(走査)する回転機構など「部品配置やメカニズムに共通点が多い」(LIDARに詳しい技術者)という(図2)。量産化ではVelodyneが先行している。

図2(a) VelodyneのLIDAR。(撮影:編集部)
図2(a) VelodyneのLIDAR。(撮影:編集部)
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図2(b) RoboSenseのLIDAR。(撮影:編集部)
図2(b) RoboSenseのLIDAR。(撮影:編集部)
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 RoboSenseは中国・深センに本社を置くLIDARのスタートアップ。中国・ハルビン工業大学(Harbin Institute of Technology)の博士だったChunxin Qiu氏が中心となって2014年に設立した。自動運転車や自動走行ロボットなどにLIDARを供給している。例えば中国のインターネット通販大手である京東集団は、同社が開発した地上配送ロボット(UGV:Unmanned Ground Vehicle)にRoboSenseのLIDARを搭載して中国で実証実験を進めている。