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 中国市場で苦戦していた電池メーカーの韓国LG化学(LG Chem)が反転攻勢に打って出る。車載電池の量産計画を大幅に見直し、2024年には200GWhまで増やす可能性が浮上した。新型のリチウムイオン電池の開発にもメドを付け、現行品からエネルギー密度を18%高めたセルを2021年に市場投入する計画だ。

 「中国では2020年に電動車両の補助金が撤廃になる。これは当社にとって強い追い風だ」――。LG Chemで電池の研究開発を主導するMyung Hwan Kim氏(Energy Solution Company, President, Battery R&D)は、世界最大の電気自動車(EV)市場の“変化”に期待を寄せる。

 補助金は一般に、電動車両を市場に普及させる上では欠かせない役割を担う。実際、補助金政策によって中国市場では、電動車両の販売台数が2018年に対前年比で60%以上増えた。中国自動車工業協会によると、2018年の電動車両の販売台数は125万6000台だった。

補助金政策で成長したCATL

 恩恵の大きい補助金の撤廃をLG Chemが歓迎するのには訳がある。現状、LG Chemや韓国サムスンSDI(Samsung SDI)、パナソニックの日韓の大手電池メーカーは中国市場から締め出しを食らっているのだ。中国で電動車両への補助金を受けるには、政府から認証を得て「ホワイトリスト」入りする必要がある。ホワイトリスト入りした電池メーカーは全て中国系で、日韓の電池メーカーは1社も認められていない。

 電池産業の振興という中国政府の後押しを受けて急成長したのが寧徳時代新能源科技(CATL)である。ホワイトリストの恩恵を最大限活用した。2011年の創業ながら、既に車載電池業界で世界最大手になったとされる。中国の自動車メーカーだけでなく、日産自動車やホンダ、ドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)などへの電池供給も勝ち取った(図1)。電池の年産量は2020年に50GWhまで増やす計画である。

図1 CATLの電池を搭載する日産の中国向けEV「シルフィ」。(撮影:日経Automotive)
図1 CATLの電池を搭載する日産の中国向けEV「シルフィ」。(撮影:日経Automotive)
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 CATLが席巻する電池業界だが、2020年の補助金撤廃で変化が起こりそうだ。ホワイトリストに入っている電池メーカーの電池を採用するという条件がなくなる。こうなれば、中国系と日韓の電池メーカーは同じ土俵で戦える。例えば、トヨタ自動車が2020年に中国で発売するSUV(多目的スポーツ車)「C-HR」ベースのEVは、パナソニック製の電池を採用する可能性が高い。