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SiCユニットは2年で体積半減

 新型の駆動用モーターと同時に発表したパワーユニットは、SiCパワーモジュールやリアクトル、コンデンサー、ノイズフィルターなどから成る。体積は2.7Lと小さい(図6)。三菱電機が2017年に開発した従来品は5.0Lだった。出力密度で比較すると、従来の86kVA/Lから150kVA/Lまで高められた。

図6 開発したSiCパワーユニット(右)。左は2017年3月(2016年度)に発表した従来品。(撮影:日経Automotive)
図6 開発したSiCパワーユニット(右)。左は2017年3月(2016年度)に発表した従来品。(撮影:日経Automotive)
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 SiCパワーモジュールは、駆動用インバーターと発電用インバーター、昇圧コンバーターで構成する。トランジスタとダイオードの両方をSiC製にした、いわゆる「フルSiC」タイプである。フルSiCパワーモジュールの耐圧は「1000kV強」(同氏)という。スイッチング周波数は明らかにしていないが、2017年の開発品よりも高めている。

各部品の体積を1/2~1/3に

 小型化に向けて三菱電機は、SiCパワーモジュールを含む各部品の構造を見直した(図7)。SiCパワーモジュールは、従来品比で体積を1/3にした。特に効いたのが、制御基板に実装するSiCモジュールや回路部品を絶縁コーティングする技術の採用だった。

図7 パワーユニットの特徴(出所:三菱電機、撮影:日経Automotive)
図7 パワーユニットの特徴(出所:三菱電機、撮影:日経Automotive)
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 高電圧の部品を基板に実装する際には、絶縁破壊を防ぐために部品間に一定の距離(沿面距離)を設けなければならない。三菱電機は今回、絶縁コーティング技術を使うことで「沿面距離を短縮できた」(同氏)という。

 電流を一定に保つためにインバーターに接続する受動部品のリアクトルは、従来品から体積を1/2にした。リアクトルはコイルとコアで構成する。従来品はコアにコイルを巻きつけたリアクトルを3個使っていた。開発品はコアの構造を刷新し、“箱型”の1個のコアの中に3個のコイルを入れるようにした。これにより、コアの数を3個から1個にできた。コンデンサーやノイズフィルターにも改良を加え、体積をそれぞれ1/2、1/3にした。

 三菱電機は、駆動用モーターとSiCパワーユニットの冷却機構を統合したシステムも用意する(図8)。モーターは油冷でパワーユニットは水冷だが、両者の間に「油-水熱交換器」を搭載した。これにより、油冷と水冷でそれぞれ必要だったラジエーターを1個に減らせた。油-水熱交換器はヒートポンプ式の給湯機などで使われてきた技術で、自動車用途に転用した。

図8 冷却システムの特徴(出所:三菱電機、撮影:日経Automotive)
図8 冷却システムの特徴(出所:三菱電機、撮影:日経Automotive)
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