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 富士通は2019年3月28日、時田隆仁執行役員常務を次期社長に内定する人事を発表した。同日に開いた記者会見で田中達也社長は「自分としてはこのタイミングで良かったと思っている」と振り返り、「パワフルな人物」と評する時田次期社長に富士通の将来を託した。同日付で執行役員副社長に就任した時田次期社長は「富士通の成長のために全力を尽くす」と意気込みを述べた。

 「サービスオリエンテッドカンパニー」。田中社長と時田次期社長は会見で富士通のあるべき姿をこう表現した。コンピューターなどのハードウエアの販売をきっかけにサービスを付加的に提供する形態から脱却し、システムの構築や運用などのサービスに集中する狙いだ。

 2015年6月に就任した田中社長は、顧客企業のITシステムの構築や運用を支援する「テクノロジーソリューション」事業に集中する方針を打ち出し、携帯電話機やパソコン、インターネット接続サービスなどの事業売却を進めてきた。

 田中社長は「(企業としての)形を変えるという意味では着実な成果を挙げられた」と振り返る。その一方で、顧客に提供している価値を示す営業利益率は思うように上がらなかった。「(事業の)質を変える取り組みを加速し、成長を目指すには新しいリーダーによる経営体制に引き継ぐべきだと判断した」と社長交代の理由を説明した。

 任期の目安が5年間とされる富士通で、田中社長は想定よりも1年間早い退任となった。

「中途半端に引き継ぐよりも今」

 富士通は2018年10月、「テクノロジーソリューション事業で2022年度に営業利益率10%を達成する」という経営目標を打ち出した。田中社長が「在任中に達成する」としてきた目標の達成時期を2年間遅らせた格好だ。

 「私がこのまま続けて中途半端な時期に引き継ぐよりも、新しい体制に受け継いで責任を持って実行してもらうなら今ではないかと考えるようになった」と田中社長は話す。この考えを指名委員会に伝え、本格的な後任選びがスタートしたという。「自分としてはこのタイミングで良かったと思っている」。記者会見で終始緊張した面持ちだった田中社長は、こう述べた後に安堵したような表情を浮かべた。

富士通の次期社長に内定した時田隆仁執行役員副社長(右)と田中達也社長
富士通の次期社長に内定した時田隆仁執行役員副社長(右)と田中達也社長
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 時田次期社長は2019年6月24日開催予定の株主総会を経て正式に就任する。富士通のかじ取りを担ってきた田中社長は代表権のない会長に、塚野英博副社長は執行役員副会長に就任する予定。「形を変える取り組みの仕上げを新社長の下で進める」(田中社長)。