東京ファッションウィークの冠スポンサーを降りる方向で最終調整に入ったアマゾンジャパン。この判断をアマゾンジャパンの国内アパレル事業の投資縮小とみるべきか、さらなる国内アパレル事業への進展に振り向ける投資の再配分とみるべきか。アマゾンジャパンのジェームズ・ピータース バイスプレジデントファッション事業部門統括事業本部長の言葉から探ってみたい。
ピータース氏は「2019年における私の予算は一切減っていないし、人員も増強している。アパレル事業は我々のビジネスの中で最も成長している分野に変わりはない」と話す。この発言を基に考えると、少なくとも同社は2019年もアパレル領域に投資を続けると読み取れる。
着々と力をつけてきたアマゾンファッション
アマゾンジャパンは2007年にアパレル商材の取り扱いを始めて以降、着実にその存在感を高めてきた。2007年にAmazon.co.jpで顧客がアパレル商材を検索し始めたことを理由にアパレル商材の取り扱いをスタート。その後、2014年に現在の「Amazon Fashion(アマゾンファッション)」と名称を新たにし、さらに注力し始めた。
2016年には東京ファッションウィークの冠スポンサーにつき、「メーカーや販売店といった業種の垣根を越えて、草の根的にアパレル業界にリーチしてきた」(ピータース氏)。
そして2018年3月、東京・品川にファッション専用の撮影スタジオを開いた。米ニューヨーク、英ロンドン、印デリーに続く4番目の撮影スタジオは、総床面積が7500平方メートルとサッカー場の面積を超える。同社のファッション専用の撮影スタジオの中で最大規模を誇る。現在はアマゾンジャパンが仕入れた商品の撮影に使っているが、今後は有料で出店者にも提供することも検討していきたいという。
「写真を撮影できる技術を持ち合わせていないブランドもある。写真にコストを割けない企業も少なくない。その分のコストを減らせれば、その原資で商品を値下げして顧客へ還元できるようになる」(ピータース氏)