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 携帯電話大手3社の2018年度のパケット接続料が出そろった。パケット接続料は格安スマホに代表されるMVNO(仮想移動体通信事業者)がデータ通信サービスの提供に当たって携帯電話大手に支払う料金のこと。いわば「回線の仕入れ値」に相当する。

 今回、大手MVNOが採用しているレイヤー2接続のパケット接続料は、NTTドコモが前年度比5.0%減、KDDI(au)が同20.2%減、ソフトバンクが同21.6%減と、軒並み下がった。しかし、インターネットイニシアティブ(IIJ)はNTTドコモの接続料改定を受け、2019年3月期の連結営業利益が10億円程度下がる可能性があると発表した。

携帯電話大手3社のパケット接続料(レイヤー2接続、10Mビット/秒当たりの月額)の推移。2015年度適用分は2016年8月の改定後のもの。カッコ内は前年度比増減率、▲はマイナス
携帯電話大手3社のパケット接続料(レイヤー2接続、10Mビット/秒当たりの月額)の推移。2015年度適用分は2016年8月の改定後のもの。カッコ内は前年度比増減率、▲はマイナス
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 接続料が下がるにもかかわらず、業績に悪影響が出ることに違和感を覚えた読者も多いのではないだろうか。背景には、接続料の複雑な仕組みがある。

暫定値による支払いが裏目に

 大手3社は設備にかかった費用をトラフィックで割ることでパケット接続料を算出している。分子に当たる設備投資は各社の戦略次第だが、最近では横ばいまたは微減の傾向だ。分母に当たるトラフィックは動画配信の普及などで拡大の傾向にある。パケット接続料はこれまで一貫して下がり続けてきた。

 算出に当たっては前々年度の実績を用いる。単純に実績の把握に時間がかかるためで、大手3社が今回発表した接続料も2017年度実績に基づいたものになる。この接続料は2019年度の毎月の支払いに適用するだけでなく、2018年度分と2017年度分に遡って精算する。2018年度分はより実績に近づけるための1次精算、2017年度分は実績に基づいた2次精算となる。これを毎年繰り返している。

 つまり、接続料は2年前の実績に基づいて算出、精算している。トラフィックの拡大で低廉化を見込める局面では、MVNOが過大な負担を強いられている側面がある。このため、総務省は2014年3月のガイドライン改定により、過去の増減トレンドを踏まえた暫定値での精算も可能とした。NTTドコモは2018年度のパケット接続料の支払いについて、15%減の暫定値をMVNOに提示していたもようだ。