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日本航空(JAL)は2019年4月2日、ハワイ旅行のプロモーションにVR(仮想現実)などの技術を活用する実証実験の様子を報道関係者に公開した。2019年末にかけて、イベント会場のほか、空港の搭乗口やラウンジなどで実験を続けながら改良し、2019~2020年度の実用化を目指す。全日本空輸(ANA)によるハワイ路線への総2階建て大型機「A380」投入を前に、JALはデジタルイノベーションによる顧客体験の向上で対抗する格好だ。
VRに香りや風、ミストを組み合わせ
今回実施している実証実験は2種類ある。一つは「JAL xR Traveler」で、VRゴーグルの映像に香りやミスト、扇風機の風などを組み合わせて、ハワイの観光地を実体験に近い形で味わえるコンテンツである。現地の観光ガイドに連れられて観光地を歩いて散策する内容となっており、映像に合わせてコーヒーや女性の香水、海辺などの香りを放散する。
「xR」はVRやAR(拡張現実)、MR(複合現実)などの総称である。複数のセンサーを組み合わせて映像と様々な効果を連動させるシステムの全体をベンチャー企業のSOOTH(東京・港)が開発した。
歩行シーンでは足元のトレッドミルを動かして体験者が実際に歩けるようにするほか、海辺の場面では扇風機で風を送ったり、滝の場面ではミスト発生器で体験者の手にミストを吹き付けたりして、視覚以外の感覚にも訴えかけてコンテンツを体験できるようにした。体験者の頭部には脳波センサーを装着し、集中度とリラックス度を測定する。体験者がコンテンツのどの部分にどう反応したかのデータを集め、今後の商品開発に生かすという。