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トヨタ自動車は2019年4月3日、電動車両向けの部品やシステムを広く外販していく方針を発表した。モーターや2次電池、PCU(パワー・コントロール・ユニット)などを他の自動車メーカーに供給する。これらの部品を使った電動車両の製品化に向けた技術サポートも実施する。関連する特許の無償提供も決めた。
「電動化技術のシステムサプライヤーになる」――。トヨタ副社長の寺師茂樹氏は同日に愛知県名古屋市で開いた会見で宣言した(図1)。
同社はこれまで、SUBARU(スバル)やスズキなど提携関係にある自動車メーカーに限ってハイブリッド車(HEV)向けの部品やシステムを提供してきた。例えばスバルが2018年末に米国で発売したプラグインハイブリッド車(PHEV)は、トヨタの「THSII」をベースに開発したシステムを搭載する。
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囲い込みから解放へ。戦略を転換させた理由について、寺師氏は次のように語った。
「トヨタとの関係が“近くないメーカー”を含めて多くの企業から、トヨタの電動化システムを使いたいとの問い合わせが増えていた。電動車両を普及させる上でこれからの10年が非常に重要な時期になる。今回の方策で、普及をスピードアップできるようになる」。
自動車メーカー各社が電動車両の普及に注力する背景には、燃費・CO2規制の強化がある。例えば欧州では、2021年からCO2排出量を平均95g/km以下にする規制が始まり、守れない場合、巨額の罰金が課される。2030年に同59g/kmまで減らす方針が示されている欧州だけでなく、「日本や中国などグローバル市場でこの数値に対応することを考えるべき」(寺師氏)段階に差し掛かっているという(図2)。