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 東京女子医科大学やデンソー、日立製作所などは2019年4月3日、東京女子医科大学に「スマート治療室」を設置したことを発表した。臨床研究として2019年2月に脳神経外科の手術を1例実施したという。スマート治療室は、IoT(インターネット・オブ・シングズ)を活用して各医療機器や設備を連携させ、手術中の患者の生体情報などを時系列で統合的に表示させたり、保存できるようにしたもの。日本医療研究開発機構(AMED)が支援するプロジェクトで、5大学と11社が参加して開発している。

 手術中は、様々な生体データを医療機器で計測したり、術中の手技を動画撮影したりしている。医師は、術中に計測する生体データを統合的に判断しながら手術をしているのが現状だ。これまでは、それらの生体データは時系列で保存されたり外部にアウトプットされておらず、術後を振り返る場合は動画を確認するしかなかった。「動画では、手術の技術は確認できるが、医師がどうしてその判断を行ったのかは分からない状況だった」とデンソーの社会ソリューション事業推進部メディカル事業室の奥田英樹室長は説明する。そこで、生体データを経時的に治療記録として収集し、リアルタイムで手術室外にも表示したり、保存したりできるコンセプトでスマート治療室の開発が始まった。

(写真:日経 xTECH)
(写真:日経 xTECH)

 各医療機器は通信規格がばらばらで、計測したデータを統合的にアウトプットすることが難しい状況だった。そこで、デンソーなどが中心となり、医療機器を改造しなくても、異なる通信規格の機器のデータを統合的にアウトプットできるインターフェース「OPeLiNK」を開発した。OPeLiNKは、デンソーが開発した、パソコンのアプリケーションソフトと工場内の多数の制御機器を接続するのに使うミドルウエア「ORiN」が基になっている。

(写真:日経 xTECH)
(写真:日経 xTECH)