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 「数値で判定しにくい“信頼性”の確保が重荷になっている。特に、従来の車両とは使われ方が異なるMaaS(Mobility as a Service)車両向けの部品に関しては、評価基準すら分からない」――。自動運転車向けのセンサーを開発する部品メーカーの技術者は打ち明ける。

 クルマの電子・電動化が進む中で、車両システムの信頼性評価が自動車メーカーや部品メーカーの喫緊の課題になってきた(図1)。評価する部品は多岐にわたり、試験項目も多い。メーカー社内では、専門知識を持つ評価人材が不足しているという。

図1 ドイツ・ダイムラー(Daimler)が開発を進めるレベル4/5の自動運転車。(出所:Daimler)
図1 ドイツ・ダイムラー(Daimler)が開発を進めるレベル4/5の自動運転車。(出所:Daimler)
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 解決策の1つが、外部の評価機関に委託することである。米国の第三者安全科学機関であるULの日本法人であるUL Japanで自動車部品の評価事業を担当する橋爪正人氏(コンシューマーテクノロジー事業部事業部長)は、「特定の試験の委託だけでなく、信頼性を評価する試験シナリオの策定まで依頼されることもある」と明かす。

 特に、MaaSと呼ばれる輸送サービスに使う自動運転車は、稼働率が高いため信頼性の確保が難しい(図2)。MaaS車の稼働率は、1日の95%を駐車場で過ごすともいわれる乗用車と比べて10倍に高まるとされる。信頼性評価の項目やシナリオなどはトラックやバスなどの商用車の基準がベースになるが、「まだ定まっていない」(同氏)のが現状だ。

図2 トヨタが開発したMaaS用の自動運転車「e-Palette」。電気自動車(EV)である。(出所:トヨタ)
図2 トヨタが開発したMaaS用の自動運転車「e-Palette」。電気自動車(EV)である。(出所:トヨタ)
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 手探り状態で開発を進める自動車メーカーや部品メーカーの要望に応えるため、UL Japanは三重県伊勢市に評価試験を受託する施設を新設した(図3)。「信頼性試験ラボ」と名付け、自動運転や電動車両に向けた部品やシステムの信頼性を評価できるようにした。約3億円を投じ、環境試験や耐久性試験に用いる設備を新たに18台導入。3年後に年間2億円の売上高を目指す。

図3 UL Japanが三重県伊勢市に開設した「信頼性試験ラボ」。(撮影:日経Automotive)
図3 UL Japanが三重県伊勢市に開設した「信頼性試験ラボ」。(撮影:日経Automotive)
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