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 NTTドコモ(以下、ドコモ)は中小製造業向けに、生産ラインの稼働状況をリアルタイムに可視化・分析するサービス「docomo IoT製造ライン分析」の提供を開始した(ニュースリリース)。加速度センサーで製造機械の振動を計測し、稼働データを可視化するとともに、クラウド上のシステムで分析。その結果に基づいて改善案を策定し、生産性向上を図るとする。

 新サービスは[1]稼働データ収集キット、[2]稼働可視化・分析システムから成り、オプションとして[3]課題特定・打ち手提案を用意する(図1)。[3]までを利用することで、現状把握から生産性向上のための提案までのサービスをワンストップで受けられる。

図1:「docomo IoT製造ライン分析」の概要
図1:「docomo IoT製造ライン分析」の概要
(出所:NTTドコモ)
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 [1]では、加速度センサーを設備に取り付けて計測し、IoT(Internet of Things)ゲートウエイで稼働データを収集(図2)。データをクラウド上の[2]へ送信する。

図2:加速度センサーの設置例。センサーの大きさは約3×3cmで、質量は約10g。
図2:加速度センサーの設置例。センサーの大きさは約3×3cmで、質量は約10g。
(出所:NTTドコモ)
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 [2]には〈a〉生産数量分析、〈b〉ボトルネック工程分析、〈c〉チョコ停・ドカ停分析の3つの機能がある。このうち〈a〉では生産数量の実績を可視化し、目標に対する到達度を確認できる(図3)。〈b〉は、製品1個当たりの機械稼働時間を可視化し、工程間の稼働時間を比較してボトルネック工程を特定。単位時間当たりの稼働率から、さらに詳細なボトルネックポイントを分析する。〈c〉により、工程ごとの機械非稼働時間を可視化できる他、チョコ停・ドカ停の発生時間と回数を把握できる(図4)。

図3:生産量分析の例
図3:生産量分析の例
(出所:NTTドコモ)
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図4:チョコ停・ドカ停分析の例
図4:チョコ停・ドカ停分析の例
(出所:NTTドコモ)
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 これらの分析結果を活用して生産ラインの課題を特定すれば、改善策の策定と実行が可能になる。稼働データを継続して取得し続ければ、改善策の定着を図れるという。

 専門知識に不安がある場合は、同社が派遣するコンサルタントによる[3]を利用できる。コンサルタントは、データ分析結果を基に課題を特定し、改善案を提示する(図5)。2019年夏頃の提供開始を予定している。

図5:課題特定・打ち手提案レポートの例
図5:課題特定・打ち手提案レポートの例
(出所:NTTドコモ)
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 利用料金は、[1]がセンサーが5個の場合で25万円(税別、設置作業費込み)で、同10個で40万円(同)。別途、[2]の月額利用料としてセンサー5個では3万円(税別)、同10個では5万円(同)がかかる。[3]の料金とセンサーが11個以上の場合は、個別見積もりとなる。

 労働力人口の減少や少量・多品種生産の拡大への対応策としてIoTの活用が注目されているが、日本情報システムユーザー協会の「企業IT動向調査」(2018年)によると、IoTや人工知能(AI)などのデジタル技術を活用する中小企業は全体の10%程度にとどまっている。新サービスは、既存の生産設備・機械を入れ替えることなく外付けの振動センサーを利用するため、安価に稼働状況を可視化・分析でき、中小企業でも導入しやすいという。

 サービス提供開始に先立ち、同社は実証実験を実施した。それによると、薬品メーカーでは製造機械の生産数量や稼働状況の分析を通じて、約10%の生産能力向上を確認できた。自動車部品メーカーで稼働率を分析したケースでは、人手による稼働率計測に比べて実際の稼働率が約20%低いと判明。製造時間の短縮に余地があると分かったという。

 同社は、横浜銀行、京浜急行電鉄との3社による「三浦半島地域の経済活性化に向けた連携と協力に関する協定」に基づき、同銀行とビジネスマッチング業務契約を締結。この契約により、大草薬品(本社神奈川県横須賀市)の新サービス導入が決まっている。NTTドコモは今後も、全国の地方銀行などと連携を強化しながら中小製造業向けに新サービスを展開する計画だ。

 同社は新サービスを「第8回 IoT/M2M展 春」(2019年4月10~12日、東京ビッグサイト)で紹介している。