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 202万台をリコールし、その費用は800億円──。スズキの検査不正問題が最悪の事態に発展した。リコール対象車種は、自社向けが25車種。他社向けが15車種の計40車種(表1)。長島・大野・常松法律事務所が2019年4月12日に同社に提出した調査報告書(以下、報告書)は、スズキの不正の実態を克明に記載している。161ページから成るこの報告書の中で、最も注目すべきは「完成検査業務に関する経営陣の理解と関与が不十分」と断じている点だ。経営陣が検査に対する考え方を根本から変え、社内の風土を一新させなければ、スズキの検査不正は止(や)まない。

表1 リコール対象車種
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表1 リコール対象車種
(出所:スズキ)

 報告書に目を通して驚くのは、スズキの根強い隠蔽体質と調査能力の低さだ。スズキの一連の検査不正問題は、2017年9月に発覚した日産自動車による検査不正がきっかけとなった。日産の事態を受け、同月29日に国土交通省がスズキに対して、完成検査における不正事案の有無について1カ月以内に報告するように指示した。これに対してスズキは「適切に実施されている」と嘘の報告を行った。

根強い隠蔽体質と低い調査能力

 続いて、2018年7月に国交省はスズキに、燃費・排出ガス測定の不正事案の有無について1カ月以内をめどに報告することを求めた。同年6月にSUBARUによる同不正の発覚を受けたものだ。これに対し、スズキはトレースエラーを無視し、本来は無効にすべきデータを有効にした不正があったと報告した。ところが、この報告を受けた国交省がスズキに対して立ち入り検査を実施したところ、また同社の嘘が露呈した。スズキの報告以上にトレースエラーの件数があることや、トレースエラーの原因に関する新たな証言、4輪車における燃費・排出ガス測定結果の改ざん、2輪車のトレースエラーなどが見つかったからだ。

 スズキの調査の杜撰(ずさん)さを重く見た国交省は、2018年9月26日に、万全な調査態勢を構築した上で、燃費・排出ガス検査を含む完成検査全体について不正事案の有無を徹底調査するように指示。これを受けて、スズキはようやく第三者である弁護士事務所に調査を依頼した。

* トレースエラー 規定の走行モードに合わせることができずに車速が規定の範囲から逸脱し、その逸脱時間が許容範囲を超えること。

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