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 地中に埋まっている水道管の漏水を迅速に検知する「デジタルの耳」を日立製作所が開発した。同社は2019年4月、地中埋設インフラを効率的に保守・点検するデジタルプラットフォームを発表。実証実験を重ね、2020年度にサービスを開始する予定である。

 開発したシステムは、振動センサーを活用して水道管などの状態を常時監視し、不具合を検知すると事業者に報告するものだ。地中配管のデータを収集・分析することで、日常的な保守作業を効率化できる。地震などの災害時には、インフラの破損状況を即座に把握して早期復旧に寄与する。

作業効率は従来に比べて16倍向上

 水道管の老朽化は深刻な社会問題だ。厚生労働省によると、法定耐用年数を超えた水道管の割合は年々増え、2015年時点で約14%に達した。水道管の状態は水道局のベテラン職員が音聴棒を使って調査する地域が多く、雑音の中から漏水音を聞き分けるには経験から学んだノウハウが必要。だが、水道局では職員の高齢化が進んでおり、定年でベテランが大量退職すれば漏水調査がままならなくなる。

従来の漏水調査(左)と日立製作所が開発した漏水検知サービス(右)の比較。ベテラン職員の耳に頼った定期調査から、振動センサーによる常時監視に変更することで、調査の作業効率が向上する
従来の漏水調査(左)と日立製作所が開発した漏水検知サービス(右)の比較。ベテラン職員の耳に頼った定期調査から、振動センサーによる常時監視に変更することで、調査の作業効率が向上する
(出所:日立製作所)
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 日立製作所が開発した高感度振動センサーは、水道管の制水弁に300メートル間隔で設置することで、管から漏れる水の微弱な振動を検知する。計測は1日2回。平時は1週間分のデータを記録して事業者などに送る。漏水の可能性が高い振動を検知した場合は即時に知らせる。日立製作所未来投資本部インフラ保守プロジェクトの竹島昌弘リーダは「これまでの人手の検査に比べ、作業効率が16倍に向上する」と説明する。

水道管の制水弁に設置する高感度振動センサー。センサー自体が発するノイズを抑えることで微小な漏水も検知できるようにした。内蔵バッテリーのみで5年以上稼働する
水道管の制水弁に設置する高感度振動センサー。センサー自体が発するノイズを抑えることで微小な漏水も検知できるようにした。内蔵バッテリーのみで5年以上稼働する
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