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 「新冷媒を2023年に投入したい」──。2019年5月10日、ダイキン工業代表取締役社長兼CEOの十河政則氏が、開発中の新しい冷媒の実用時期についてコメントした。最大の特徴は、地球温暖化係数(GWP)が小さく、現行の冷媒「R32」を超えること。GWPは10以下、すなわち1桁台と圧倒的に小さい。GWPが675であるR32を2桁下回る「画期的な冷媒」(同氏)だ。

ダイキン工業代表取締役社長兼CEOの十河政則氏
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ダイキン工業代表取締役社長兼CEOの十河政則氏
新冷媒の開発と実用化を急ぐと語る。(写真:日経 xTECH)

 新冷媒は、直膨型空調機向けの微燃性冷媒。開発には、人工知能(AI)を活用したマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を使った。米国・シリコンバレーにあるAIベンチャー企業と組んで開発した、ダイキン工業独自のAIを使用。「人間が文献や特許情報などを集めて分析すれば1年以上かかるものを、わずか数週間で分析した」(十河氏)。これにより、何万兆(何京)もの物質から候補物質を3種類に絞り込んで開発を進めているという。さらに、こうした候補物質の選定に加えて、冷媒の合成方法にもAIを駆使していることも十河氏は明らかにした。AIについては他の大手ITベンダーとも組んでみたが「うまくいかなかった」(同氏)。

 なお、こうした分析の結果、不燃性冷媒でGWPが1桁のものは現時点では見つかってない。また、新冷媒の効率はR32よりも劣り、冷媒「R410A」と同等だという。

 新冷媒の開発に当たり、同社は開発リソースを強化した。開発人員をかつての10人から50人以上に増やし、かつ外部のリソースも活用。研究開発費も増額して投入した。