「来年(2020年)に投入する新しいグローバルモデルから(同社の新アーキテクチャーとなる)『ホンダアーキテクチャー』を採用する」――。ホンダ社長の八郷隆弘氏は2019年5月8日に開いた事業方針説明会でこう説明した(図1)。
ホンダアーキテクチャーの考え方は、基本的にはトヨタ自動車の「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」と共通しているように見える。八郷氏の説明によれば、クルマのプラットフォームを部品共有領域とモデルの個性領域に分け、部品の共通化に加え開発工数の低減を図ろうというもので、「量産車の開発工数を30%削減し、(電動化や自動運転などの)先進領域に振り向ける」(同氏)ことを狙う(図2)。
同氏は今回の説明会で、電動化には燃費の改善とゼロエミッション化という2つの側面があり、前者はハイブリッド車(HEV)を中心に、後者は電気自動車(EV)を中心に進めていく考えを示した。ホンダアーキテクチャーは、HEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)への適用も視野に入れて開発したもので、燃費改善の要となる。もっとも、PHEVはあくまでもその補完的存在との位置づけで、主体はHEVとする。背後には、同社のPHEV「クラリティPHEV」の苦戦がある。
一方、EVに対しては別のアーキテクチャー(プラットフォーム)の適用を想定している。同氏によれば、ホンダアーキテクチャーはEVへの適用を意識して開発したものではないようだ。実際、ホンダは「ジュネーブモーターショー2019」で世界初公開した小型EV「e」のプロトタイプ車でEV専用プラットフォームを採用している(図3)。