直近1年間で、IT利活用の先進企業は何に取り組んでいるか。この傾向をつかむのに役立つのが「攻めのIT経営銘柄」だ。経済産業省と東京証券取引所は2019年4月23日に発表した。その選定結果からは、意外な共通点が浮かび上がった。
攻めのIT経営銘柄はIT活用に戦略的に取り組む企業を選定するもの。経営者にIT活用を促したい経産省と株式投資の促進を狙う東証が2015年以降、共同で毎年選んでいる。今回は5回目で29社が選ばれた。
2019年の初選出は9社。ユニ・チャーム、エーザイ、JXTGホールディングス、大日本印刷、丸井グループ、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、三井不動産、三菱地所、パソナグループである。一方、5年連続で選ばれている企業もある。アサヒグループホールディングス、ブリヂストン、JFEホールディングス、JR東日本、三井物産、東京センチュリーの6社だ。
「常連企業の中には、株主から攻めのIT経営銘柄についての質問を受ける企業も出始めたと聞く。5年間続けたことで、資本市場を通じて企業にIT活用を促すことに成功しつつある」と経産省の柴田和也商務情報政策局情報技術利用促進課(ITイノベーション課)課長補佐は説明する。

攻めのIT経営銘柄の選定は、国内の優れたIT活用事例を紹介する意味もある。この点を強調するために2019年から新設されたのが「DXグランプリ」だ。
これは、攻めのIT経営銘柄に選ばれた企業の中からデジタル時代を先導する企業を1社選ぶもの。選出は、専門家による「攻めのIT経営」委員会が担当する。初代DXグランプリにはANAホールディングスが選ばれた。