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 日本財団と東京大学は2019年5月14日、海洋マイクロプラスチック問題対策のための研究プロジェクト「日本財団FSI基金による海洋ごみ対策プロジェクト」を2019年度から開始したと発表した。2021年までの3年間に3億5402万円を投じ、問題対策の基礎となる科学的知見を得る。

図1 海洋ごみ対策プロジェクトについて発表する東京大学総長の五神 真氏と日本財団会長の笹川陽平氏
図1 海洋ごみ対策プロジェクトについて発表する東京大学総長の五神 真氏と日本財団会長の笹川陽平氏
左が五神氏、右が笹川氏(日経 xTECHが撮影)
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 マイクロプラスチックについては近年国際的な問題になっているものの、問題の実態が必ずしもよく分かっていない。特に「『大きさ1mm以下になったマイクロプラスチックがどのように動いてどこへ行くか』と『マイクロプラスチックが生体にどう影響するか』を明らかにしたい」(東京大学大気海洋研究所国際連携研究センター長で教授の道田豊氏)としている。

 日本財団常務理事の海野光行氏は「プラスチックごみを誤飲した海洋生物のショッキングな映像が世の中に流れ、プラスチックストローの削減が強調されている。これらは問題を認識するきっかけとしては良いが、あたかもそれらが問題の全てであるかのように社会が動いている」と指摘。「しっかりとしたデータや科学的知見を得て、具体的な行動につなげていく必要がある。科学的知見は全ての基盤」(同氏)であり、その把握が共同プロジェクトの目的であるとした。

マイクロプラスチックはどこへ行くか、どう生体に取り込まれるか

 研究課題は大きく分けて3つあり、1つめが「海洋マイクロプラスチックに関わる実態把握」。「マイクロプラスチックは5mm以内に粉砕されたプラスチックごみを指すことが多いが、その中でも1mm以内になったマイクロプラスチックがどこへ行くのかを解明する」(道田氏)。粒子径によって深さ方向のマイクロプラスチック分布がどう変わるか、海の表層と海底の泥での粒子径の分布がどう異なるかなどを研究する。

 さらに、現在の状況だけでなく、70年間にわたって日本近海でのマイクロプラスチックの時系列変化を明らかにしたいという。相模湾、対馬近海などで調査を実施する予定で、市民参加によるブイを用いたモニタリングシステムを造っていく考え。

図2 海洋マイクロプラスチックに関わる実態把握
図2 海洋マイクロプラスチックに関わる実態把握
(出所:東京大学、日経 xTECHが撮影)
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