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 2019年6月8~9日に茨城県つくば市で開催される20カ国・地域(G20)貿易・デジタル経済相会合で、「グローバル・スマートシティ連合(Global Smart City Coalition)を創設する」という日本政府の提案について国際的な合意が得られる見通しだ。日本政府はこの連合を通じて、アプリケーションのオープンソース化やデータフォーマットの標準化など、スマートシティ向けデータ利活用基盤をオープンにするように働きかける。

 一部の国家やプラットフォーマーがIoT(インターネット・オブ・シングズ)機器などから取得できるデータを独占し、規格やルールを支配することで実質的な権力を握ることを避ける狙いがある。

 「スマートシティ」とは、ITを活用して環境汚染や渋滞、犯罪の増加など都市の抱える様々な課題を解決し、持続可能な都市を形成する取り組みのこと。近年はIoTの普及でエネルギー消費や交通利用の状況、健康関連情報など様々なデータが取得できるようになり、生活実態にひもづくデータを活用した街づくりが世界各地で進んでいる。

 「連合ができることで、例えば都市ごとにバラバラのデータフォーマットを使うのではなく、フォーマットを標準化することで、データを使った課題解決のシステムを世界各国の都市が共有するような取り組みの進展が期待できる」と提案を取りまとめる内閣府の赤石浩一政策統括官は話す。すでに多くの国の賛同が得られているという。

 背景には、世界中で急速に進む都市化、つまり都市への人口流入がある。2050年には世界の人口の70%が都市に集中すると予測されており、都市化がもたらす様々な社会課題への対処が急務となっている。例えばインドネシア政府は4月29日、首都をジャカルタから移転することを閣議決定した。交通渋滞や住宅不足、地下水の過度なくみ上げによる地盤沈下などが理由だ。

 こうした都市の社会課題はある程度共通しているため、ある都市で成功した課題解決の方法がそのまま別の都市でも使えるようになれば、世界全体で住みやすい都市を実現できる。

 課題解決のITシステムを共有する枠組みとして赤石政策統括官が「理想形」と挙げるのは、欧州連合の官民連携プログラムで開発されたIoTの共通基盤である「FIWARE(ファイウエア)」。公共サービスを提供する自治体や企業のデータ利用を促すためのオープンソースソフトウエア(OSS)である。

 企業がスマートシティ向けのIT製品やサービスを掲載し、それらを政府機関が検索し購入できるニューヨーク市発の取り組み「Marketplace.city」も参考にしているという。「専用サイトに行けば、水問題、渋滞などといった社会課題ごとに、標準フォーマットにのっとった課題解決のアプリケーションが並んでいる」(赤石政策統括官)。

 つくば市のG20会合で国際合意を形成できれば、2019年秋には世界のスマートシティ関係者による「グローバル・スマートシティ連合」を発足させ、基盤の具体像をはじめとした都市間の連携や協力の方法を検討する。事務局は世界経済フォーラムなどが有力だ。2019年1月に安倍晋三首相がダボス会議で発言した「信頼ある自由なデータ流通」の体制づくりの一環として、6月28~29日に大阪で開かれるG20首脳会合でも触れる見込みだ。