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 AI(人工知能)やビッグデータのビジネス活用が進むなかで、ある言葉に注目が集まっている。「企業内で価値を生む可能性があるのに活用できていないデータ」を指す「ダークデータ」だ。

 例えば工場や店舗といった現場では稼働中の設備や機器が様々なデータを生成しているが、結果的に捨ててしまって活用できていない企業は少なくない。IT部門が管理している情報システムやネットワークも、ログデータを活用すればさらなるセキュリティーの向上や運用の効率化が可能だ。

 企業内に眠る「宝の山」ともいえるダークデータに対して、企業のマネジメント層やIT管理職がどのような意識を持つかを調査したところ、活用の重要性を認識しながらも様々な障害のために有効活用に踏み出せていない実態が明らかになった。国によって考え方が異なり、積極活用への意識がずぬけて高い国の存在も明らかになった。日本は相対的に「有効活用に動き出せていない」ほうに属しており、企業の国際競争力で後れを取りかねない。

3分の1の企業、「ダークデータが75%以上ある」

 ダークデータに焦点を当てた調査結果を公表したのはデータ分析ソフト開発の米スプランク(Splunk)である。日本を含む世界7カ国で1365人のビジネスパーソンを対象に2018年10月から2019年1月まで調査した。日本では2019年5月27日に説明会を開いた。

 調査の対象国は7カ国で、米国、英国・フランス・ドイツの欧州3カ国、日本・中国・オーストラリアのアジア太平洋3カ国である。対象者は企業の経営層やIT部門・ビジネス部門のマネジメント層で、IT担当者と非IT担当者は50%ずつの同数とした。調査対象の企業数は非公表である。

7カ国で経営層からマネージャー層までに調査した
7カ国で経営層からマネージャー層までに調査した
出所:米スプランク
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 企業が持つデータに占めるダークデータの割合には様々な見方がある。例えば米IBMがビッグデータ関連の情報を発信しているサイト「IBM Big Data & Analytics Hub」では、2016年時点でおよそ8割がダークデータであると推計している。

 スプランクの調査では、回答者による推計としてダークデータが「50%以上ある」との回答が60%を占め、このうち33%の回答者が「75%以上がダークデータ」であると回答した。自社のダークデータが「50%未満」に収まっているとの回答は40%だった。IBMの推計よりダークデータが少なめな傾向にあるものの、回答者の全体平均ではダークデータの割合は55%と企業データの半数を超えているという認識だ。

 企業がダークデータの価値を顕在化する重要性を理解しながら、活用できない課題も明らかになった。81%の回答者が「企業全体の成功にはデータが重要だ」と答えながら(「とても重要」「極めて重要」の回答を合計)、77%が「ダークデータの把握が最優先事項だ」と回答し、まずデータの棚卸しや整理ができていない状況が浮かび上がった。

76%の回答者が「データを最も活用する企業が勝つ」と考えるが、活用への障壁も多数存在している
76%の回答者が「データを最も活用する企業が勝つ」と考えるが、活用への障壁も多数存在している
出所:米スプランク
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 ダークデータ活用を阻む障害については、39%の回答者が挙げた「ダークデータの量が多すぎる」を筆頭に、34%が挙げた「必要なスキルセットが不足している」、32%が挙げた「リソースが不足している」といった理由が上位を占める。総じてデータを扱うスキルや体制が不足していると示す結果だ。