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 自動車部品などに使われるポリアミド(PA)66樹脂の世界的な供給不足を受けて、オランダ化学大手のDSMは同樹脂を代替できる製品の販売を強化する。

 同社の日本法人であるディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチックス(DSMジャパン)取締役の姜信良氏は2019年5月29日に開催した説明会で、「PA66樹脂の供給不足を解決するために、早期の実用化を目指す」とした(図1)。

図1 DSMジャパン取締役の姜信良氏
図1 DSMジャパン取締役の姜信良氏
(撮影:日経Automotive)

 PA66樹脂は、「ヘキサメチレンジアミン(HMDA)」と「アジピン酸」を重合して造る。このうちHMDAの原料となる「アジポニトリル(ADN)」の供給メーカーは、米アセンド(Ascend)やフランス・ソルベイ(Solvay)など世界に4社しかない。2018年に発生した米国のハリケーンや欧州のライン川の増水といった自然災害の影響で、こうしたメーカーの一部の工場が操業を停止した。

 操業停止の影響で、HMDAは世界的な供給不足となり、その状況は2020年まで続くとみられる。また「(HMDAを原料とする)PA66樹脂の年間供給量は世界で10万~30万トン不足しており、2022~23年まで供給不足の状態が続く見通し」と姜氏はいう。