全1703文字
PR

 各国が積極的に投資し、国際的に研究開発競争が激化しているライフサイエンス領域。開かれた研究開発環境とビジネスネットワークを首都圏に整備してライフサイエンス領域のイノベーションを創出する事業に、三井不動産が本腰を入れ始めた。

三井不動産の植田俊常務執行役員(右)と三枝寛ライフサイエンス・イノベーション推進部長(中央)
三井不動産の植田俊常務執行役員(右)と三枝寛ライフサイエンス・イノベーション推進部長(中央)
[画像のクリックで拡大表示]

 「ライフサイエンス領域の『賃貸ラボ&オフィス』事業はオフィスビルや商業施設、物流施設などに続く新たなアセットクラスの不動産事業となる」。三井不動産の植田俊常務執行役員ビルディング本部長はこう力を込める。同社は2019年5月30日、大学などの研究機関やベンチャー企業が研究と事業を一体運営できる施設を提供する新事業について記者向け説明会を開いた。

都心近接、研究施設とオフィスをセットに

 三井不動産が提供するのは研究室と賃貸オフィスがセットになった施設「賃貸ウェットラボ」だ。1区画は30坪ほどになる。バイオ・セーフティー・レベル2(BSL2)に対応し、細菌や病原体を扱う実験が可能という。ラボの周囲に配置するオフィスには事務スペースを設ける。

「賃貸ウェットラボ」と呼ばれる研究室と賃貸オフィスがセットになった施設のイメージ。創薬や再生医療などの研究に携わるテナントを募集する
「賃貸ウェットラボ」と呼ばれる研究室と賃貸オフィスがセットになった施設のイメージ。創薬や再生医療などの研究に携わるテナントを募集する
(出所:三井不動産)
[画像のクリックで拡大表示]

 2019年9月には「三井リンクラボ葛西」(東京都江戸川区)の工事が完了する。同施設は第一三共の葛西研究開発センターの5号館(2~4階)を三井不動産が賃貸ウェットラボに改修したものだ。三井不動産がマスターリースした物件をテナントに転貸する事業となる。

 同ラボの入居者は高価な実験機器を共用で使える。また、葛西研究開発センター内の食堂や会議室も使えるため、低コストで研究室を開設できるようになる。三井不動産は地方の製薬会社や大学、中堅バイオベンチャーなどの入居を想定している。

賃貸ウェットラボは2019年9月に東京都江戸川区、20年12月には江東区で竣工する予定。都心近接の研究環境を提供することで、人材獲得や資金提供者との交流の機会を増やす
賃貸ウェットラボは2019年9月に東京都江戸川区、20年12月には江東区で竣工する予定。都心近接の研究環境を提供することで、人材獲得や資金提供者との交流の機会を増やす
(出所:三井不動産)
[画像のクリックで拡大表示]

 2020年12月には江東区にも「三井リンクラボ新木場」を新設する。どちらの施設も都心近接を売りとしており、首都圏の製薬会社や資金提供者とラボ入居者の交流を促す仕組みづくりが三井不動産の狙いとなる。

 オフィス什器(じゅうき)や個別の実験設備をテナント側が用意するため、償却期間を考慮して賃貸契約は5年ほどを見込む。研究成果が製品化して、ラボ入居者が製造設備を求める際には柔軟に対応する方針だ。