全1747文字
PR

 飛行機に搭乗するまで自分の顔がパスポートや搭乗券代わりに――。2020年春にも成田国際空港会社(NAA)は出発客が搭乗するまでの各チェックを「顔パス」で通過できるシステムを導入する。NAAとNECは2019年5月31日、顔パスのための顔認証システム「OneID」を報道関係者に披露した。空港側にとっては出発客の処理能力を1.5倍に増やせる。2020年東京五輪・パラリンピック開催時に予想される空港利用者の急増に対応する切り札として期待が集まるが、「ワンストップ」の運用ができないといった課題も残る。

成田空港のOneIDが対象とする出発動線のチェックポイント
成田空港のOneIDが対象とする出発動線のチェックポイント
(出所:NAA)
[画像のクリックで拡大表示]

 一般に出発客が空港で航空機に乗る際は、チェックインカウンター、手荷物の預け入れカウンター、保安検査場、搭乗口などの各チェックポイントを通過する必要がある。通常は係員が目視でパスポートやeチケット控え、搭乗券やそれらに対応するデータベースを参照し、パスポートや予約記録は有効かどうか、目の前にいる人はパスポートの顔写真と同一人物かどうか、などを確認する。手続きの内容によっては1人に付き数分かかる場合もあり、年末年始やお盆などの繁忙期は各チェックポイントに長蛇の列ができる。

 OneIDを導入すると、出発客が搭乗するまでの手続きが一挙にスムーズになる。最初にチェックインカウンターや自動チェックイン機で顔写真を登録し、パスポートや予約記録の情報とひも付ける。以降のチェックポイントではパスポートや搭乗券を提示しなくても、顔認証だけで通過できる。特に保安検査場の入り口や搭乗口の改札機では、出発客が立ち止まることなく通過できるとしている。NAAはOneID導入後の通過所要時間の目標を定めている。搭乗までの動線が混雑する夕方はチェックインカウンターで20分以内、自動チェックイン機は7分以内、保安検査は10分以内での通過を目指す。

OneIDでは、最初に自動チェックイン機や有人カウンターで出発客の顔とパスポート、予約記録のデータをひも付ける
OneIDでは、最初に自動チェックイン機や有人カウンターで出発客の顔とパスポート、予約記録のデータをひも付ける
[画像のクリックで拡大表示]
手荷物の預け入れカウンターでは顔認証でパスポートや予約記録を参照できるため、改めて提示する必要がない
手荷物の預け入れカウンターでは顔認証でパスポートや予約記録を参照できるため、改めて提示する必要がない
[画像のクリックで拡大表示]
搭乗口の改札機では、立ち止まることなくウオークスルーで機内に向かえる
搭乗口の改札機では、立ち止まることなくウオークスルーで機内に向かえる
[画像のクリックで拡大表示]

 世界の空港でOneIDを本格導入済みなのはシンガポールと米アトランタの2カ所のみ。成田空港は世界で3番目の本格導入となる見通しだ。2020年春の導入当初は18億7000万円を投じ、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の2社の合わせて約500万人の出発客に向けてOneIDを利用できるようにする。2018年の成田空港の出発客数は約1800万人。3割弱の出発客がOneIDの対象となる計算だ。