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他車の動きを予測する重要性

 高速道路において合流する際に、車両の目標速度や目標軌道を決めても、それが実現するまでには必ず時間の遅れが生じる。「経路が安全かどうか」「実行しても問題ないかどうか」を判断するには、自車だけでなく他車の動きも予測して、自車が合流し終わるまで安全な車間距離を保てるかどうかを見極めなければならない。

 この予測をAI(人工知能)の機能で実現するのは非常に難しい。その理由の1つとして、他車の運転者の「意図」が分からない点が挙げられる。例えば、合流しようとしてステアリングを操作した途端に、前方車両が急にブレーキを踏んだり、後方の車両が加速してきたりして危ない思いをしたことがある方は少なくないと思う。

 他車の行動予測は、熟練の運転者でも難しい。これまでの運転経験を振り返ってみると、自分の行動意図を相手に積極的に伝え、その反応を見ることで相手の意図を測ったことはないだろうか。

 例えば、渋滞している車線に合流する際、方向指示器を出したり、少し幅寄せしたりして本線車両の反応を探り、隙間に入れてくれそうな車両を探した経験があるのではないだろうか。

 デンソーはそのような行動を「Probe action」と呼んでおり、アルゴリズム化したものをROIPに実装した(図4)。

図4 Probe actionのイメージ
図4 Probe actionのイメージ
渋滞車線に合流する際に、入れてくれそうな車両を探すシーンを示した。(出所:デンソー)
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 これまでに実施したROIPのデモでは、来場者に右車線を走る通常のクルマを操作してもらった(図4の右車線最後方の車両)。自動運転車が行うProbe actionに対して譲ったり譲らなかったり、場合によってはずっと並走したり、加速・減速を頻繁に繰り返したりするなど、実際の路上ではあまり見られないような運転行動をとる人もいた。

 ROIPはそのような動作も全て予測して合流できた。これまでのデモを通じて、アルゴリズムのロバスト性を示せたと考えている。